ヤフコメはヘイト・有害情報の温床と批判されていた

コメントの「投稿停止措置」を受けたユーザーにおいては、携帯電話番号の設定がないIDの割合が5割以上と高水準になっており、その背景として、「投稿停止措置」を受けたユーザーが別のIDを利用して不適切な利用を繰り返すケースが一因となっています。

ヤフーは10月18日に発表したプレスリリースの中で、Yahoo!ニュースのコメント欄投稿に携帯電話番号の登録を義務化した背景について、こう説明している。

ヤフーはコメント欄を「ニュースや世の中の出来事に関連する多様な意見や考え、感想が集まる場所」としている。だが一方で、コメント欄は誹謗中傷やヘイトスピーチなどの有害情報氾濫の舞台とも見られてきた。

ヤフーはこれまでにも、不適切なコメントを繰り返したアカウントへの「投稿停止措置」(2018年6月)、「投稿停止措置」を受けたユーザーが同じ携帯電話番号で新たなIDを取得した場合も投稿制限(2020年10月)、などの対策を取ってきた。だが誹謗中傷などはやまなかった。

SNSに書き込みをしている手元
写真=iStock.com/asiandelight
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小室眞子さんのニュースの渦中に「自動非表示機能」を実装

特にネット上の誹謗中傷に大きな注目が集まったのは、プロレスラーの木村花さんの死亡事件(2020年5月)と、小室眞子さんの「複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の公表(2021年10月)だった。同年11月には秋篠宮さまが記者会見で、雑誌、ネットの誹謗中傷について「許容できない」と発言している。

ヤフーはこの間の2021年10月19日には、一定以上の投稿数のある記事のコメント欄を対象に、AIが判定した違反コメント数などの基準に従って「コメント欄を自動的に非表示」にするとの新たな対策を打ち出した。

個別のユーザーアカウントや投稿への対処ではなく、コメント欄そのものを閉じるという一段踏み込んだ対策だった。

※参照:「コメント欄閉鎖も初めて導入」ヤフーは誹謗中傷コメントを排除できるのか(2021年10月21日付 プレジデントオンライン)

その結果検証を2022年1月20日に公開している。導入開始からの2カ月間で、コメント欄が非表示となった記事数は216件、1日平均3.5件、1日あたりの配信記事数の0.05%程度だという。

また、同年12月6日には有害情報対策についての「透明性レポート」2021年度版を公開した。それによると、Yahoo!ニュースのコメント欄は、新型コロナの緊急事態宣言や東京オリンピック・パラリンピックがあった2021年7~9月は投稿数4847万8000件で、削除数は184万8000件(削除割合3.8%)。

これに対し、コメント欄自動非表示化を導入した同年10~12月は投稿数3786万件で削除数は117万1000件(同3.1%)、2022年1~3月は投稿数3324万8000件のうち削除数86万9000件(同2.6%)と、投稿数、削除数、削除割合とも減少傾向がみられる。

今回の携帯電話番号の義務化は、コメント欄自動非表示化から1年後の、さらに踏み込んだ追加対策ということになる。

この間の今年5月6月の共同通信の報道によると、ヤフーはNEWSポストセブン、週刊女性PRIME、東スポWebの3サイトが提供する「エンタメ」記事についてコメント欄を閉鎖したという。そしてそのきっかけは、なお続く小室眞子さんの結婚をめぐる誹謗中傷の深刻化だったとしている。