90代の総務課長が持っている価値
たとえば「年齢相応の落ち着き、安心感、安定性」は、若手には出せないスキルと言えます。
最近、90代の総務課長(玉置泰子さん)が何かと話題です。
この人はまさしく若手やミドルにもない「年齢相応の落ち着き、安心感、安定性」をお持ちだからこそ、定年退職後もずっと重要な役割を任されていらっしゃるのだと思います。
日頃から体調を整えて毎日確実に定刻には出勤するというのは、社会人なら当たり前のルーティンと思われるかもしれません。
しかし、そうしたことがままならない社員で構成されている会社や職場も少なくありません。
転職回数は多かったのですが、社会人になってから無遅刻・無欠勤を続けていた(筆者の)40代前半のクライアントは、「テクニカルスキル」「ビジネススキル」の「売り」は乏しかったものの、この地味だけれどもある意味、かなりすごい「ヒューマンスキル」によって、未経験職種でも無事内定を勝ち取りました。
「テクニカルスキル」「ビジネススキル」に誇るべきものがそもそもないのに無理やり創出しても、採用人事は腹落ちしないでしょう。
こういった場合は、地味な「ヒューマンスキル」でかまわないのです。
一方で、若手の気軽な相談役のような「兄貴分」的立場を担ってきたという経験は、この世代はあまり前面に出さない方が良いと考えます。
「若手と戯れていて、聞き分けの良い先輩を気取っている」ととらえられる危険性があるからです。
このような「仲良しこよし」の関係よりも、むしろ若手にとって耳の痛いこともきちんと伝え、厳しく育成指導していく役割を期待されていることを忘れてはなりません。
この世代の過半数がやらかすミスマッチ
もう一つ、「売り」を前面に打ち出すも、それがちゃんと備わっていることを証明できないケースもNGです。
確かにその「売り」を保有していたとしても、全く見ず知らずの採用人事に、「確かに備わっていそうだ!」と納得してもらわないといけません。
「売り」とそれを備わっていることを証明する内容とがきちんとマッチしていないとNG。筆者の感覚ですが、こういうケースは、この世代の過半数以上を占めています。
たとえば、「売り」として「トラブルシューティング力」を打ち出したとして、「何かトラブルがあった際には、自らの手で長年にわたって構築した社内のネットワーク(NW)が非常に役に立ち、これこれこういうシーンでもこのNWがあったからこそ~」とあったとしましょう。
一見するとマッチしていそうですが、「売り」を「いざというときに役に立つネットワーク構築スキル」に替えた方がしっくりきます。
この「合っていそうで合っていない」というのは、材料はたくさんあるだけに、非常に惜しいと言えます。
こうした場合は、「裏付けるエピソード、エビデンス、データ」を列記して、そこから導き出される「真の売り」は何なのか? と逆説的に考えていくとうまくいきます。