30代後半から40代の人が転職活動をするとき、「転職回数が多い」などのネガティブ要素がある場合はどうすればいいのか。キャリアカウンセラーの中谷充宏さんは「ネガティブ要素は誰にでもある。その打ち返し方にはセオリーがあり、その通りに返すことで採用人事の懸念は払拭できる」という――。(第3回/全5回)

※本稿は、中谷充宏『30代後半~40代のための転職「書類」 受かる書き方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。 

ルーペで履歴書を見る手
写真=iStock.com/champpixs
※写真はイメージです

今の会社に居続けられる保証はない

日本を代表するエクセレントカンパニーでも終身雇用を維持するのは難しい時代で、中高年を対象にリストラを実施している企業もたくさん出てきました。

またジョブ型という新しい雇用スタイルも出てきて、年功序列型の制度の下で働いてきた中高年には、更なる逆風が吹いています。

「自分には派手な実績や経験もないから今の会社にしがみつかなくては」「転職する方がリスクが高い」と考え、何も行動を起こさないというのはごく自然な流れです。

とはいえ、国も解雇の金銭解決導入を検討し始めるなど、安穏と今の会社に居続けられるとは保証できない時代に入っていきます。

チャンスやアクシデントはいつ巡ってくるかわかりません。そういった観点からも、転職の準備は進めておくべきと考えます。

ハイスペックの人でも落とされる

今の会社でバリバリ仕事ができ、同期と比べて昇格・昇進も早い方だという人は、きっと仕事上のスキルは高いのでしょう。

ただ、実績や経験、能力があっても、それらを採用選考の工程できちんと伝えなければなりません。

このようなハイスペックな人が落選するシーンを見てきましたが、これは採用人事にちゃんと伝わっていない、つまり自分をプレゼンする「転職スキル」が圧倒的に不足しているからなのです。

「ネガティブ要素」は誰にでもある

「いやいや、私は同期よりも出世が遅い方だし、そもそもそんなプレゼンするほどの実績がない」、もしくは「(休職、失業など)ブランク期間があるから」、「非正規での勤務が長いから」と、転職に向き合えない人達もいます。実はこういった人達の方がマジョリティで、何かしら「ネガティブ要素」を持っているけれども、それを打ち返す術を知らないので、そこで止まってしまっています。

ネガティブ要素をそのまま伝えるだけではダメ

ネガティブ要素をそのまま伝えるだけではダメなのは、おわかりでしょう。

例えば、病気を患ってしまい、キャリア上のブランクがあったとしましょう。

これは事実なので意図的に隠ぺいするのは、経歴詐称になりますので、もちろん良くありません。

ただ、多くの応募者や社員を見てきた採用人事は、「大病を患った人はごく普通に社会に存在する」と見ています。

つまり、その病気が入社後の仕事にどのように、どれくらい影響するのかを知りたいわけです。勤務上問題がないことを丁寧に説明すれば良いのです。