人口は13.9億人に激増…インドで広がる出産・子育ての歪み

今年11月、世界人口は推定80億人に達した。

なかでもインドの人口増加ペースは、世界的に見ても驚異的な水準にある。来年には中国を抜き、人口トップになると推定されている。

サンスクリット語で「生命の水の貯水池」という意味があるアムリトサルの、スィク教の総本山であるハリマンディル・サーヒブの前を通る人たち
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英ガーディアン紙によると、中国では現状、1日あたり約5万人の新生児が生まれている。対するインドはこれを7割以上も上回り、毎日およそ8万6000人が誕生している状況だ。

結果としてインドには、若年層があふれている。同紙によると年齢の中央値は29歳と非常に若い。しかしそこには、高齢化が進む日本とはまた違った問題が潜む。

教育の低さがさらなる多産を招き、結果として子供1人あたりに十分な教育費をかけられないという悪循環を生じている。もちろん子を多く育てることが一律に悪というわけではないが、無計画な出産は現地でも問題化しつつあるようだ。

世界の望まない妊娠、7件に1件がインドで発生

インドでは望まざる妊娠が多発している。専門家はこれを「静かなる危機」だとみる。

インドのデカン・ヘラルド紙は、国連人口基金でインド代表を務めるアンドレア・ウォジャール氏のコメントを引用している。ウォジャール氏によると、「世界全体におけるこうした事象(予期せぬ妊娠)の7件に1件がインドで発生して」おり、表面化しづらい「静かな危機」になっているという。

背景のひとつに、生まれてくる子供の性別に関し、親たちが並ならぬえり好みをしている現状がある。

インドでは跡取りとして、男児の妊娠を望む傾向が非常に強い。ガーディアン紙は、跡取りを確保するため最低でも2人の男児がほしいと願い、結果として6人の子供を産んだという母親の話を報じている。

この母親は、「医者から家族計画について聞かされたのは、全員を生み終わった後のことでした」「子供が少なければ、より良い育て方ができたでしょうし、より良い教育もできたでしょう」と述べ、多産と教育に関する基本的な知識が欠如していた当時を悔やむ。