姿勢は筋肉ではなく骨で支える
世の中には、姿勢をよくするための本がたくさん出ていますね。その多くでは、姿勢を支える筋肉のトレーニングが勧められています。
私は難治性患者専門の理学療法士として、アレクサンダー・テクニークという身体技法の教師として、何千人以上もの人の姿勢を改善してきましたが、筋トレを勧めたことは一度もありません。
なぜなら、姿勢というものは、筋肉ではなく骨で支えるものだからです。
姿勢を筋肉で支えてしまうと、何が起こるでしょうか?
まず、筋肉を使い続けていると、すぐに疲れますので、ずっと姿勢を維持していくことが難しいです。
それに筋肉は体の外側にあるものなので、「筋肉を使う=かためる」ことが、つまり体の血流や呼吸、内臓を圧迫してしまうことにもなります。当然、苦しいしなんか調子が悪いということにもなるのです。丈夫な箱で、崩れないように支えていくイメージですね。
緊張しなくても姿勢は維持できる
反対に、骨で支えると、姿勢を維持するのに力や筋肉、緊張はいりません。血流や呼吸、内臓を圧迫することもないので、穏やかな心とやわらかな体で、つまり自然体でいられるようになります。
姿勢が崩れてしまっている、ねこ背になってしまっていると感じるとき、「姿勢を骨で支えられているか?」という視点でやさしく注意を向けてみてください。積み木を積み上げていくように、特に、背骨の上にD頭がふわっとのせていくイメージを持つと、感覚がつかみやすいでしょう。
コツは、そうしようと体を操作するのではなく、イメージするにとどめること。余計な緊張を手放していく、よいきっかけになることでしょう。