藤川太のアドバイス

非正規雇用者の多くは、年収300万円前後の収入しか得ることができずにいる。正社員を目指している者もいるが不況の中、職はなく現状維持するだけで精一杯という状況だ。

一般に収入が低い家庭のほうが見栄を張ったり高望みをしないためにしっかりとした家計がつくれるものだが、Aさんほど収入が低いと、家計簿の各費目に最低限の予算をつけることすらできなくなる。

家計簿の各費目を見て、まず気になる点は収入に対して食費が突出して高いこと。家賃とほぼ同額だ。自炊の割合が低くコンビニ弁当の利用や外食が多いためだが、「遊園地や旅行へ行く余裕がないのでファストフード店へ行くことが娯楽の代わり」という事情もある。通信費も高い。携帯電話は仕事を受けるための必需品とはいえ、無用な通話も多いようだ。料金プランは加入当初のまま見直したことはないという。

逆に少ないのは保険と貯蓄。低所得者層は保険を掛け金が安く保障が薄い共済だけで済ます世帯が多い。高い保険料を負担する余裕がないことが主な理由だが、夫に万が一のことがあったときのことを考えると、遺された妻子がある程度の期間は生活できる程度の死亡保障はかけておきたい。この家庭では子どもの教育資金用の学資保険の保険料として1万円、医療保障が中心で死亡保障400万円の共済の掛け金2000円を2人分支払っている。

また現状では貯蓄がほぼゼロだが、できるだけ早く年収相当分程度は貯めて、失業や病気などによる休業に備えるべきだ。

このようなポイントで家計を見直してみよう。