「ドラえもん」と「ちびまる子ちゃん」
Q オリジナル脚本はどうやって作るの?
【シンジ】脚本家はオリジナルの脚本を書く場合もありますよね?
【監督】当然あります。その場合は、シリーズ構成や脚本家に発注する前に、まずは企画の段階でプロデューサーなり監督が、どんなアニメにするのかイメージを持っていなければなりません。どんな世界観で、どんなキャラクターで、どんなストーリー構成なのか。自分たちで「原案」を作っていくイメージです。それを脚本家と打ち合わせを重ねてブラッシュアップし、シナリオにしていく感じです。もちろん作家性の強い映画監督は、それらを全部自分でやってしまうことが多いけれど。
【シンジ】『ドラえもん』とか『ちびまる子ちゃん』とか、原作マンガがあっても、現在放送されているのはオリジナル脚本ですよね。
【監督】はい。そのようなすでにキャラクターや世界観が定まっている作品で、新しいお話のシナリオ発注をするときは、「この話のテーマは友情」「バレンタインデーの話」といった設定や条件を提示して、脚本家にシナリオ化を依頼することになります。当然、脚本家のレベルによって、おもしろい話になったり、つまらない話になったり……と。
【ユーリ】私、そういうの得意かも!
原作なしのアニメを作れる脚本家はひとにぎり
【シンジ】さっきから聞いてれば、自信過剰なんだよ。お前、アホなくせに。脚本家なんて才能がなきゃ無理だろ。お前も俺もただのアニメ好きなんだから、監督の話を静かに聞いていろ。
【ユーリ】うざい! ネガティブ男、いらない! てか、モテない!
【シンジ】は !? 俺のどこがネガティブなんだよ! ただの現実主義者だ。
【監督】まあまあ(笑)。実際、原作ありとなしでは、脚本の大変さは全然違います。アニメの脚本家で原作なしものができる人は非常に少ないのが現実。原作ありの仕事とは要求されている技術が違うからね。
さて、「キャラクターデザイン」と「美術設定」と「シナリオ」がそろえば、いよいよアニメ作りの準備ができたことになります。この段階まできたら、ここまで紹介してきたスタッフ以外にも、「作画監督」「撮影監督」「演出家」などの主要スタッフが決定しています。そして、次のステップは「絵コンテ」です。
【ユーリ】ついに「絵コンテ」が登場! 前に監督が書いていたやつだ。
【監督】絵コンテは、アニメの設計図! 設計図ができあがれば、あとはそれに沿って組み立てるのみ。さあ、行きましょう!