「モリカケ桜」よりも将来を議論してほしい

また、安倍政権の経済政策は、雇用の流動化などを通じ、かなり若い人に有利に世代間格差を解消するものだったのだが、それに反対する高齢者の側についてしまった。

その結果は、若い世代ほど保守系の与党支持が多いという世界でも類例を見ない現象をもたらした。「モリカケ桜」にしても、若い人に受けるテーマではない。若い人は自分たちの将来について議論したいのだ。

2015年、春闘で反戦のプラカードを下げる人
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しかも、民主党は民進党と看板を掛け替えたが、そこで、多様性の象徴だとか言って蓮舫を代表にしようとし、法律で認められていない二重国籍者であることが暴露されても(発端となったのは私が「アゴラ」に寄稿した記事だが)、選出を強行し、その後も十分な反省も示さなかった。

結局、前原誠司が自民党より右派的な小池百合子の希望の党に合流するという奇手に出たが、排除の論理を強く出し過ぎて、もとの民進党より左寄りの立憲民主党が旧社会党とだいたい同じ勢力を獲得して野党第一党におさまった。

民主党政権のとき分不相応なポストに就いて、もうこりごりと思った議員も多かった。野党議員は、支援団体周りで365日忙しい自民党議員と違って、暇で好きなことを無責任に言っておればいいのだから気楽でいい商売なのだ。ベテラン議員なら重複立候補での比例復活も含めたらめったに落選することもない。

二大政党への第一歩は憲法改正を済ませること

それでは、自民党と本当の意味での二大政党になれる野党は、どうしたら創れるのか。私のお勧めは、憲法改正を済ませてしまうことだ。第九条に加筆する、緊急事態条項、合区解消だけという安倍路線ならどうしても反対しなくてはならない話ではない。

それなら、大連立政権を組んで、憲法改正を通してしまえばいい。第九条を改正してもアメリカの言うとおりにしなくてはならない時代でもない。そして、憲法改正が与野党の争点でなくなれば、3分の1の議席の死守は無意味になり、過半数の攻防という本来の二大政党による与野党の対決構図が描ける。