COP27で問われるEUの本気度
COPは常に、EUを中心とする先進国が気候変動対策の強化を訴える一方で、途上国が慎重論を唱える対立の場でもあった。
すでに述べた通り、昨年のCOP26でも、石炭火力発電をめぐり野心的な目標設定を定めようとしたEUと、慎重な扱いを求めた途上国の対立が明らかとなり、米国の仲介で妥協が成立した経緯がある。
しかしEUは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、自らが廃すべきとした石炭火力発電へ回帰した。そのEUは、今年のCOP27でも途上国に対して気候変動対策の強化を訴えるはずだ。
そうであるなら、途上国に対する示しを付けるためにも、EUは今年のCOP27で、石炭火力の再開について説明責任を果たすべきではないだろうか。
それを踏まえたうえで、EUには、途上国の気候変動対策のサポートに関して、具体的な方向性を示すことが求められるだろう。EU版「一帯一路」構想ともいえるグローバル・ゲートウェイ構想に基づくインフラへのODA(政府開発援助)などを、自らが戦略的に重視するアフリカや東欧だけではなく、世界的に拡大してもいいはずだ。
日本のアプローチは正解
EUにそうした姿勢が見られず、単に気候変動対策の強化を声高に訴えるだけでは、COP27で具体的な成果が達せられるとは考えにくい。
気候変動対策でイニシアチブを採ろうとする以上、EUは説明責任とともに実行責任が問われることを認識すべきだろう。今年のCOP27は、EUの本気度を確認する好機になるのではないか。
日本も当然、今年のCOP27に参加する。日本に求められる姿勢は、やはり途上国の声に耳を傾けることにあるのではないだろうか。
少なくとも、途上国に対して一方的に気候変動対策の強化を訴えるような態度は避けるべきであるし、その点については、日本の今までの途上国へのアプローチは間違っていないと考えられる。
(寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)