石炭火力発電の「段階的廃止」を主張したEU
11月6日から18日まで、エジプトのリゾート地、シャルム・エル・シェイクで国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催される。
今回のCOPのポイントの一つは、気候変動対策の強化を呼びかける先進国、特に欧州連合(EU)が、途上国の気候変動対策のサポートに関して、具体的な方向性を示せるかにある。
英国のグラスゴーで開催された昨年のCOP26では、EUが石炭火力発電の「段階的廃止(phase out)」を主張した。しかし会期を一日延長して実施された詰めの協議で中国とインドが異論を唱えた結果、米国の仲介もあって、表現が「段階的縮小(phase down)」に書き改められた。石炭火力に依存せざるを得ない途上国の立場を中国とインドが代弁したかたちとなった。
途上国からの注文に応えられるか
この「グラスゴー合意」が締結された直後、COP27の開催国に選ばれたエジプトのエルシーシ大統領は、気候変動対策の重要性を強調する先進国に対して、途上国に対する支援を充実させるように注文をつけた。
温室効果ガスの排出量が多いのは工業化が進んだ先進国であり、途上国ではない。このことをきちんと認識し、途上国に配慮するべきだというわけだ。
エジプトの場合、地球温暖化に伴う海面の上昇を受けて、主要な農業地域である地中海沿岸のナイルデルタへ海水が侵入し、塩害が生じることが懸念されている。