当初は1つの車型の予定が、結果4車型に…

新型クラウンの開発にあたっては、純粋にクラウンのモデルチェンジとしてスタートしたということである。最終的には4車型のワイドバリエーションになるのだが、当初は1つの車型だけで新しいクラウンの世界を表現しようとしたのだ。

そしてその車型こそが、このクロスオーバーなのである。

当初はこのクロスオーバーで今までのクラウン顧客層、つまり中小企業経営者を中心とした高齢の富裕層やハイヤーなどの「黒塗り需要」もまかなおうと考えたということだ。この層はリアシートの快適性を重視するから、遮音性が高い独立トランク式のセダンを選ぶことに躊躇ちゅうちょはなかったらしい。

デザイナーがこの車のデザインをしたとき、ボディー形式はハッチバックを考えていたらしいが、この理由からあえてセダンとしたということだ。スタイリングは斬新なものにするが、車の特性としては従来のクラウンを踏襲すると。

わかりにくいクロスオーバーの立ち位置

しかし開発が進むにつれ、クラウンを根本的に変えろという号令を発した豊田章男社長自身から、「セダンも別に作れ」という指示が飛んだのだ。従来型のセダンも別に作るとなれば、従来の需要の多くはそちらに流れると考えるのが自然である。

一方、新型クラウンは海外にも展開したいというのが基本戦略である。海外市場を考えると、とくにアメリカではSUV一色であるためSUVも欲しくなる。

フォードなど、セダンの生産をやめてしまったほどだ。日本や欧州でもSUV比率は高まるばかりである。それで大小2種のSUV(スポーツとエステート)も追加して、4車型という壮大なラインアップとなった。

そうなるとクロスオーバーの立ち位置が非常にわかりづらくなる。

セダンとSUVのマーケットは明確で、どんな人が買うのかも想像しやすい。しかし見た目はクロスオーバーSUVで、使い勝手はセダンというクロスオーバーは誰が買うのか。