年齢とともに減る「アルブミン値」が劇的に改善していた
Aさんの血液検査で、特に注目すべき変化があったのがアルブミン値です。アルブミンは血液に含まれるたんぱく質で、血液中のたんぱく質の60%を占めています。血液の浸透圧を調整するほか、アミノ酸などの栄養素を運搬する役割を担っています。アルブミンが不足すると、せっかく栄養を吸収しても必要としているところに運べないという不具合が生じます。
アルブミンの値が基準値以下になると、筋肉が弱くなり、転倒したり寝たきりになる人が多くなるのです。しかも、アルブミンは年齢とともに減ることがわかっており、老化の指標ともいわれています。
Aさんが最初にクリニックに来たときのアルブミン値は3.6g/dLしかなく、危険な状態にありました。ところが、4カ月後に元気な姿で現れたときは4.5g/dLに改善していました。
アルブミン値の改善に1日5個の卵が貢献したのは明らかです。卵パワーが老化による衰弱からAさんを救ったのです。
たんぱく質だけでなくビタミンもカルシウムも摂れる優秀な食材
卵は必須アミノ酸を含む、理想的なアミノ酸組成を持っています。あの不思議な形のカプセルの中に、たっぷりの栄養素が詰まっているのです。
考えてみれば、あの中からひよこという命が生まれてくるのです。完璧な栄養が詰まっているのも、当然といえます。
卵に含まれるたんぱく質は、約10gと覚えてください。もちろん、卵の大きさや品質によって多少の違いはありますが、覚えやすい数字で認識していただければ十分です。
卵の中には、たんぱく質以外の栄養素も含まれています。
卵というと、コレステロール値の悪化を気にする人がいますが、まったく逆です。卵白には悪玉コレステロールを下げるシスチンというアミノ酸が含まれ、卵黄には同様の働きをするレシチンという脂肪酸が含まれています。ますます、卵を見直さなければなりません。
卵に含まれる栄養素は、まだまだあります。
必須アミノ酸のメチオニンは肝臓のアルコール分解を助ける働きがあります。骨をつくる際に欠かせないカルシウム、認知症予防の効果が認められるコリンも豊富です。さらに、カロテンは発がん性物質を抑える力が注目を集めています。
ビタミン群はビタミンA、B2、B6、B12、E、D3と、たっぷりです。まさにサプリメントを飲んでいるようですね。
肌の潤いを保つコラーゲン、かぜ薬に含まれることの多いリゾチウムは、抵抗力、免疫力がアップする成分です。
これだけの栄養素が含まれている食品は、卵のほかに見当たらないでしょう。卵を毎日、食べていれば健康状態がよくなるという話も納得です。
しかも、値段も低く安定しています。卵を常備して、いろいろな調理法で食べるようにすることが健康に直結します。