“一強体制”強化の代償は大きい
逆に、改革が遅れれば個人消費は伸び悩むだろう。最悪期は脱したもののゼロコロナ政策は中国の消費者心理を急速に悪化させた。債務問題の深刻化懸念などを背景とする資金流出の増加、人民元安の加速によって、予備的動機を強める消費者はさらに増える可能性が高い。個人消費の回復には、かなりの時間がかかると予想される。
中国の景気を支えてきた対米輸出も鈍化している。2022年、中国が5.5%の実質GDP成長率目標を達成することは難しい。債務問題の深刻化、資金流出、アニマルスピリットの押さえつけなどによって、2023年以降の経済成長率に関しても、停滞が懸念される。体制強化の代償として、習体制下、中国経済の期待成長率が低下傾向で推移する恐れは一段と高まっている。