中国IT関連銘柄を売る海外投資家が続出
“BAT”をはじめ民間IT企業に対する締め付けはさらに強化されるだろう。特に、SNSを通して共産党に不満を持つ人がつながり、党指導部に対する批判が増えることは食い止めなければならない。そのために、人海戦術に加えて人工知能などを活用したネット監視体制は強化されるだろう。
共同富裕推進のためにも、共産党政権はIT分野など高い成長を実現した民間企業への規制を強化する可能性が高い。そうした懸念上昇から、党大会後は中国のIT関連銘柄を売却する海外投資家が増えた。5月、中国国内ではIT先端企業に対する締め付けが部分的に緩められるとの見方が増えた。それによって、一時、株価が下支えされる場面もあった。しかし、実態は逆の方向に向かっている。党による統制は、さらに強化されつつある。
不動産バブルの後始末は急務のはずだが…
党大会後、中国経済の改革に向けた動きはこれまで以上に停滞する可能性が高まった。その一つとして、不動産バブルの後始末の本質的な解決法が示されなかったことは大きい。2020年8月、共産党政権は不動産融資規制である“3つのレッドライン”を導入した。
中国恒大集団(エバーグランデ)や碧桂園控股(カントリー・ガーデン)の資金繰りは急速に悪化した。各社は資産の切り売りによって債務返済や事業運営を行わざるを得なくなった。その結果、不動産バブルは崩壊した。不動産デベロッパーの経営体力は追加的に低下している。資産売却の加速などによって不動産市況の悪化にも拍車がかかっている。
事態の改善には、政府が、債務問題が深刻な企業に公的資金を注入し、不良債権処理を進めることが欠かせない。不動産関連セクターを合計すると中国のGDPの約29%に達するとの試算もある。不動産バブルの後始末は、中国経済の成長率に決定的なインパクトを与えるといっても過言ではない。
それにもかかわらず、党大会で習氏は不動産関連の政策を修正し、不良債権処理を加速する考えは示さなかった。それよりも、党規約には“台湾独立に断固として反対する”と記されたことが注目されている。