【村井】3つめが最善を尽くして急ぐこと。仕事においてスピードというのは誠意の表明だと考えています。人種差別の問題や八百長疑惑の問題で私がぐずぐずしていたら、当該クラブをどんどん傷つけてしまう。あの場合は慎重に踏みとどまるより、急ぐことが相手のクラブを救うことにつながったと思っています。
最善を尽くした人間は、力が及ばない世界を知っている
――それをサッカーの神様が見ている、と。
【村井】PK戦のとき、人生をかけてボールを蹴ってきたプロの選手たちが、肩を組んで仲間を信じたり、手を合わせて神様に祈ったりするじゃないですか。最善を尽くした人間だからこそ、自分の力が及ばない世界を知っているんですね。自分で何でもできると思っているうちは、やはり驕り高ぶりがあるんです。自分のチカラではどうにもならない世界があることを知っている人は、祈ることがあります。
――八百長疑惑は調査の結果、シロでした。
【村井】そうですね。神様に試されてるんだから、「ダメな時はダメだ」と開き直り、最後は手を合わせてJリーグの仲間を信じて結果を待ちました。仕事でも家庭でも、望まぬ試練というのは突然やってくるものです。自分の力だけではどうしようもない時もあるので、頑張るだけ頑張って、あとは仲間を信じて祈る。そんな気持ちでいるのが、いいのではないでしょうか。