政府・自民党の顔色をうかがうNHKの体質

NHKは、やはり政治に弱かった。

先ごろ、かねて検討していた受信料の値下げを2023年10月に過去最大の1割程度の幅で実施すると発表した。

NHK放送センター
写真=iStock.com/mizoula
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当初は地上放送と衛星放送を視聴できる世帯が対象の「衛星契約」(以下、「衛星」)の値下げだけを実施する方向で検討していたのに、直前になって政府や自民党から“圧力”がかかり、地上放送だけを視聴できる世帯の「地上契約」(以下、「地上」)まで値下げせざるを得なくなってしまった。

政府が関わる特殊法人とはいえ、経営の根幹に関わる受信料の水準を自ら決められない姿は、ふがいないというか、情けないというか、独立した事業体の体をなしていないと言わざるを得ない。

受信料の値下げは、国民にとっては恩恵といえるが、コトはそう単純ではなく、手放しで喜ぶわけにはいかない。

NHKは、予算が国会の承認を必要とし、最高意思決定機関である経営委員会メンバーの選任も国会の同意を得なければならないなど、さまざまな制約を受けている。これは、NHKの運営基盤である受信料が、国民全体で公平に負担する公金のため、国民の代表である国会が関与するのは当然とされているからだ。

だが、国会は長く自民党が第一党の座を占め、政府も自民党中心の政権が続いてきた(もちろん、一時期の例外はあるが)。このため、NHKは、いやが応でも、自民党の顔色をうかがい、政権の腹の内を忖度そんたくしてきた経緯がある。それは、NHKにしみ込んだ構造的な体質といってもいいかもしれない。

1割値下げを決めた理由

もともとNHKのために制定されたといわれる放送法は、「不偏不党」を高らかにうたい、「政治的公平」を明確に求めている。

ところが、「公共メディア」を自認するNHKの報道ぶりは、政権の意向を斟酌するかのような偏りが、事あるごとに指摘されてきた。放送法の精神に背くような内容は「国営放送」と揶揄やゆされることもしばしばだ。

だから、今回の値下げについても、来春の統一地方選挙を控えて「NHKに受信料を大幅に値下げさせた」と喧伝したい自民党の人気取りの思惑を許してしまったともいえる。