「お金の価値観」を壊しているからバズる

僕は一時期、自分を「金持ちユーチューバー」と称していた。図に乗って「俺たち金持ちユーチューバー ~We are Rich YouTubers~」なんて曲もリリースした。もちろん、はんぶんネタだ。

僕のYouTube動画では、ブランド品を買いまくってみたり、高額のガチャガチャを当たりが出るまでひたすらやり続けてみたり、はたまた高級料理店で大食い勝負をしてみたりと、大金を投じる企画も少なくない。そしてそれがことごとくバズる。

人はお金に縛られて生きている。でも僕はなんのためらいもなく湯水のようにそれを使ってみせる。お金の価値観を壊しているわけだ。それがウケている一因だろう。

そんな動画をたびたびアップしているから、ヒカルは羽振りがいい、金遣いが荒い、なんてイメージが定着した。まさに金持ちユーチューバーだ。狙いどおりだ。夢があっていい。

でも裏を明かせば、湯水のようにお金を使うのはYouTube撮影のその場かぎりのことだ。番組製作費のようなものだ。

僕の普段の暮らしは簡素だ。住まいこそ高級賃貸マンションだが、その家賃以外はたいしてお金を使わない。そのマンションだって動画撮影のスタジオを兼ねている。

僕の時間はほとんどYouTubeに費やされる。撮影、編集、企画会議、アップした動画の反響の検証。だからほかにお金を使おうにもそんな暇もない。

普段の食事は400円の牛丼でじゅうぶん

食事はうまければいい。400円の牛丼でじゅうぶんだ。それをデリバリーで取り寄せる。中華料理が食べたくなったら近所にある「餃子の王将」だ。一食にわざわざ何千円も何万円もかける気にならない。

ヒカル『心配すんな。全部上手くいく。』(徳間書店)
ヒカル『心配すんな。全部上手くいく。』(徳間書店)

洋服もお気に入りの数着を着まわしている。ブランド物のネックレスや腕時計は金持ちユーチューバー用だ。普段からそれをじゃらじゃらさせているわけじゃない。

お金なんてそんなもんだ。たいして使い道はない。普通に暮らすぶんには少しあればやりくりできる。でもみんなお金の心配ばかりしている。

そしてお金の心配をするあまり、やりたいこと、挑戦したいことがあっても尻込みしてしまう人が少なくない。でもそれでは本末転倒だ。やりたいことはお金では買えない。やりたいことをやってお金を稼ぐ。そこを目指さないでどうする。

何度でも言うが、失敗なんて恐れるに足りない。もしあなたの挑戦が大コケしたとする。それで野垂れ死ぬのだろうか? そんなわけはない。困ったらだれかに頼ればいい。最悪、実家に帰ればいい。友だちの部屋に転がり込めばいい。僕はいつでも安アパートに引っ越す気でいる。出直すための手立てはいくらだってあるのだ。

僕の人生最大のピンチは、「VALUバリュー騒動」だった。僕はそれですべてを失った。でもそれは振り出しに戻っただけだ。何者でもない自分に戻っただけだ。きっとやり直せる。僕はそう信じた。で、実際そこから巻き返せた。

オセロといっしょだ。たとえあなたがどんなピンチにおちいっても、四隅を取られなければ大丈夫だ。四隅を取られるとは? それはあなたがあきらめたときだ。あきらめないかぎり必ずひっくり返せる。必ずだ。

お金なんて大した問題じゃない。ぜんぶなんとかなる。人は簡単には死なない。四隅さえ取られなければ、チャレンジは続けられる。成功の火は消えない。

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