全貯金を使い飲食サービスを学生起業
シドニーで「料理を仕事にしたい」気持ちを強めた平井さんは、帰国してすぐに動き出した。貯金をすべて使って、キッチンの広い家に引っ越しそこで料理教室やケータリングサービスをスタート。
「そのうち、シドニーでの経験をもっと発信していきたい。自分のお店を出したいと考えるようになりました」
しかし、それまで平井さんのやりたいことには反対したことがなかった母が、本格的に起業して店を開くことには「心配だ」と反対した。
「ただ、もうやると決めていたので(笑)。開店準備を進めていたら母が東京までやって来て身の回りのことを手伝ってくれました。開店直後は本当に眠る暇がないほど忙しく、カフェの階で椅子を並べて横になる私を見て、母が半泣きになってしまい。今でも、当時店でかけていたBGMを耳にすると、嫌な気持ちになると嫌みを言われます……」
今でも支えになっている、中学時代の両親の一言
従業員を抱える今はだいぶ慎重になったと話す平井さんだが、学生のうちに女性が起業するのは想像以上に大変だったのではないか。母が心配したように、失敗することは怖くなかったのか尋ねた。
「中学生の頃、人間関係に悩んで学校に行くのが嫌になった時期があって。辛くて、もう学校に行きたくないと泣いたときに親が『どんなことがあっても家族だけは味方だから大丈夫よ』と言ってくれたのが子供ながらうれしかった。起業するときも、私には絶対的な味方がいる、という心強さがあったと思います」
今では、1歳10カ月の子を持つ母になった平井さん。「子供が大きくなって何かにチャレンジしたいと言ったら、私も何でもやらせてやりたい。もう少し大きくなったら、forucafeで楽しそうに働く自分の背中も見せられたら」と母の顔でほほ笑んだ。
今も昔も変わらないこと
ガッツ
「『ガッツがある』『忍耐強い』とよく言われます。シドニーの店でも『すぐにやめると思った』とあとで言われましたが、やめる気は全くなくて。子供時代から、頑張れば何かしらの結果が出るという小さな成功体験を積ませてもらったのが大きいかもしれません」
ガッツ
「『ガッツがある』『忍耐強い』とよく言われます。シドニーの店でも『すぐにやめると思った』とあとで言われましたが、やめる気は全くなくて。子供時代から、頑張れば何かしらの結果が出るという小さな成功体験を積ませてもらったのが大きいかもしれません」
(文=浅田喬子 撮影=植田真紗美)