誰でも何かができるようになってきている

三浦 厚生労働省なんかなくても、みんなが集まればできちゃうんです。僕は常に行政に対しては、縦割じゃなくて横串でやったほうがうまく回るという提案をするのですけれど、「それがなかなか難しい」とか言われちゃう。シェアハウスなんて、まさに横串ですよ。空家問題と雇用問題と保育園問題と貧困問題、みんながシェアハウスに住んだら、ある程度解決しちゃうんです。それを若い、大してお金もない人たちが勝手にやったら、うまくいっちゃっている。だから広がっているんです。

 これは50年前だとできなかった。50年前の日本人だと、村ではやっていたかもしれないけれど、都市に出てきた無名の人達には、知識も、お金も、ストックも、経験もなくてできなかったと思うんですね。でも、今はなんやかんや言っても、大学でNPOを学んだという知識があり、親の空家というストックもいっぱいある。そういうことが絡まり合い、横串を通すことで、誰でもなにかできるようになってきているんです。

 『第四の消費』の中に、老人3人で若者ひとりを育てるっていう話がありますよね。感動しました、あそこ。

三浦 そう、老人はすごい資源なんですよ。

 ご老人が土地を持っていて、そこに皆さんで入り込んで、助け合いながら家も借り、かつご老人も助け、ご飯も作ってもらえる。これからは、ああいうことが大事になるんじゃないかと。スイスみたいにビルごと占拠してみたり、ニューヨークみたいに「わしらが99パーセントだ」と集まってワーッとやるのもありかもしれないけれど、やっぱり日本型の問題解決方法っていうのがある気がしてしょうがない。

三浦 ループタイ型ではない、自主コミュニティですね。今日この場所で、こういうお話ができたのも、まさにそういうことだと思います。隙間にどんどん入り込んでいけば、いくらでもやり方はあるはずです。

 ぜひ、三浦さんには日本隙間党党首として先頭に立っていただいて(笑)。私が宣伝映像を撮ります(笑)。

三浦 ぜひ、お願いしようかな(笑)。

《――発想を逆転して、三人の高齢者が一人の若者を支えると考えればどうか。
(中略)たとえば、あまり所得が多くない若者がいるとする。しかし仕事のために
都市部に住まないといけない。家賃負担が大変だ、家賃を払うと結婚する余裕がない、子育てなんてとても無理だ、ということになる。他方、都心近くに広い土地と家を持って、一人で暮らしている老人はたくさんいる。(中略)こうした老人が、たとえばあるおじいさんは、若者に自宅で空いている部屋を無料で貸す。隣のおばあさんは、若者に食事をつくってやる。(中略)その隣のおじいさんは大企業に勤めていた人脈を活かして、若者に仕事を紹介したり、仕事に役立ちそうな人を紹介したりする。若者の役に立てば、おじいさんたちもうれしい》
(『第四の消費』p.232 「三人の高齢者が一人の若者を支える」より)
(構成=PRESIDENT Online 編集部 撮影=佐藤 類 撮影協力=LwP asakusa)