依頼を受けるとネット上の情報から住所や電話番号などの個人情報を割り出す。そんな「特定屋」として活動する人があらわれている。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「副業として気軽な気持ちで活動している人もいるが、ストーカーなどの犯罪に悪用された場合は共犯の罪に問われる可能性もある。特定屋になることも、利用することも避けたほうがいい」という――。
ハッカー攻撃
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見知らぬ男から「いつも見ている」

「電車で知らない男にしつこくナンパされて。急いで逃げたのに、インスタのDMで『○○線で会ったよね。運命だと思うし、付き合わない?』と連絡が来た。アイコンの写真が確かにあの男で、気持ち悪くてアカウントは削除してしまった。それからは電車に乗る時間をずらすようにしたけど、また会うかもと思うと怖い」

ある20代女性は通勤電車が怖くなってしまったという。「でも、なんでアカウントがわかったのかな。怖すぎる」

話を聞くと、車内でインスタを更新したり、コメントに返信したりしていたそうだ。スマホに覗き見防止フィルムなども貼っていないそうなので、覗き見られてアカウントを特定された可能性がある。

ある30代女性は、会社の最寄り駅で知らない男に声をかけられた。男は、「○○さんでしょ。フォローしていつも見ている。これからどこかに行かないか」と言ってきたため、驚いて怖くなったという。

「怖かった。自分ではそんなに個人情報を出していたつもりはなくて、なんでわかったんだろうって。会社への行き帰りも怖くて、家が近い同僚にワケを話して、なるべく同じ時間に行けるようにしている」

「特定代」はわずか2000円~1万円

女性のアカウントを見せてもらうと、グルメ好きという彼女はさまざまな店で食べたランチの写真をアップ。お気に入りスポットでの自撮り写真も投稿しており、会社の最寄り駅がわかりやすい状態となっていた。残念ながら、このように無自覚に特定されるような投稿をしている人は多い。

これを利用したのが「特定屋」だ。特定屋とは、依頼を受けて誰かの住所などの情報を割り出すことを請け負う人のことだ。ネット上では、わずか2000円~1万円程度でさまざまな情報を特定代行する特定屋が見つかる状態だ。