ソ連崩壊の最終章になる
だが、ウクライナでロシアが敗北すれば、この可能性はほぼ消えて、ロシアがモルドバの内政に干渉したり、沿ドニエストル地域を実効支配する能力も低下するだろう。
こうした意味では、ウクライナは自らの主権と独立を守るためだけでなく、1989年に始まったソ連崩壊の仕上げとして、旧ソ連諸国がロシアのくびきから逃れる「第2の解放」のために戦っていると言うことができる。
今年はソ連の建国から100年目に当たる。それを意識してか、プーチンは少なくとも領土面でソ連を復活させる計画に着手してきた。だが、ウクライナで敗北すれば、2022年は1989年に始まったソ連崩壊にとどめを刺す年になるかもしれない。
もちろん、ウクライナの勝利はまだ先の話だろうし、確実なことはとても言えない。だが、アメリカとヨーロッパの同盟国は、想像力を最大限に駆使して、ウクライナの勝利が意味することを考え、それに備えるべきだ。
ベラルーシに自由が訪れ、ウクライナとジョージア、そしてモルドバが完全な国土と主権と独立を取り戻せば、世界の歴史にとって重大な転機となるのだから。
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら