「42.5歳」で迎える曲がり角

とはいえ、この「校内マラソン」はいつか終わりを迎えます。

出世する人はいつか絞られ、それぞれのキャリア・アップは停滞を迎えます。専門用語では「キャリア・プラトー(高原)」と呼ばれる、いわばキャリアの踊り場です。企業はすべての人を管理職にするわけにも、幹部にするわけにもいきませんし、そんな企業は世界にも存在しません。高度経済成長の時代ならまだしも、出世の限界が見えたからといって、さらに出世の天井を引き上げる、つまり「ゴールを引き延ばし続けること」などは現実にはできません。

特に最近では高齢化とシニア世代の引退が延びたことによって、それまで部長クラスになっていた人が、課長クラスにとどまるようになっています。52歳、55歳といったタイミングで役職定年(ポスト・オフ)もあります。こうした中で企業には「キャリア自律」だ、として50歳ごろからいきなりキャリア研修などを受けさせられます。

図表1は、「出世に対する意欲の変化」を示したグラフです。平均で42.5歳を境目にして、「出世したい」と「出世したいと思わない」の割合が逆転しています。「出世したいと思わない」の比率は、逆転して以降はひたすら右肩上がりで伸びているのが見て取れます。

出意欲がなくなるといきなり「引退モード」

対して、図表2は「キャリアの終わりを意識している」人が「していない」を上回るタイミングを示しています。出世意欲がなくなってくると、すぐに「引退モード」が来るのが日本の正規雇用の就業意識です。このデータは出世以外の「代替物のなさ」を物語っています。

出所=パーソル総合研究所「働く10,000人 成長実態調査2017」
出所=パーソル総合研究所「働く10,000人 成長実態調査2017