何気ないSNS投稿に落とし穴が潜んでいる

特定行為は年々、SNS上で活発化している。なぜなのだろうか? そこには孤立化する社会も関係していた。

毎日新聞取材班『オシント新時代 ルポ・情報戦争』(毎日新聞出版)
毎日新聞取材班『オシント新時代 ルポ・情報戦争』(毎日新聞出版)

「インターネット空間の活動は現実感を伴わないが、SNSでつながることで現実感を満たしたいという思いが募るのです。自らが社会を動かしているという感覚は、自尊心や支配欲、自己承認欲求を満たす。ネットユーザーは常に新しい情報や刺激を求めている。特定屋が増えているのは、そうしたことが背景にあるのです」

サイバー犯罪に詳しい摂南大の針尾大嗣教授(情報学・プロファイル分析)はそう解説する。身を守るにはどうすればいいのか。針尾さんは投稿の際には①匿名、②承認した相手しか投稿を見ることができないように鍵をかける、③プロフィルを含む個人情報は非開示にする――のが大原則とアドバイスする。

さらに、投稿する画像や動画を加工して背景にぼかしを入れ、撮影場所と時間が同時に特定される投稿は避けるべきだと言う。特に通学・通勤中に目の前で起きた出来事を発信することで、日常の移動経路の一部が明らかとなり、ストーカーの標的になる恐れがあるという。

加えて、過去の投稿を定期的に確認することも大事だという。特定屋は個人情報につながる過去の投稿にさかのぼってチェックするので、個人情報の特定につながる可能性のある投稿は削除する必要がある。

また、ツイッターやインスタグラムなど複数のSNSで、ついつい同じアカウント名を使い回してしまうが、それも避けた方がいいという。同一人物とわかってしまえば、情報量が増してより特定されやすくなる。SNSだけでなく、フリーマーケットアプリ「メルカリ」などネットサービス利用時のアカウント名に注意するのも同じ理由だ。

何気ないSNSの発信により、特定行為が身近に忍び寄っているかもしれない――。ぞわぞわする不気味な恐ろしさを感じ、筆者も過去の投稿を改めてじっくりチェックした。

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