日本はますます「貧しい国」になる

かつて「一億総中流社会」といわれ、大多数を占めていたはずの中間層が、いまや実質的に貧困層にこぼれ落ちているような現象が広がっている。その一方で、富める者はより富み、一握りの超富裕層と大多数の貧困層に二分される「二極化」の格差は広がるばかり。

このままでいけば、「一億総下流社会」になる恐れすら高まっている。

それにしても、なぜここまで日本は貧しい国になったのか。一言でいえば、収入が増えていないからにほかならない。OECD(経済協力開発機構)が算出する主要7カ国(日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ)に韓国を加えた平均実質賃金の推移を見ると、日本だけが低いままであることが一目瞭然だ。

【図表】韓国に抜かれていた日本の平均賃金
出典=『一億総下流社会

米国は2000年から伸び続け、2020年時点の実質賃金は7万ドルに迫る勢いで突出している。一方で、日本は2015年には韓国にも抜かれ、2020年にはコロナの影響でイタリアが最下位になったものの、それまではイタリアよりも低い賃金だった。

まして米国を筆頭に、カナダ、ドイツ、英国、フランス、そして韓国も右肩上がりで伸びているのに、日本とイタリアだけがこの20年間、賃金が増えていないのである。

しかも、賃金が増えていないのは、この20年間だけではない。