メモリ半導体、スマホ需要も減少している

ドイツでは天然ガス価格の上昇や、エネルギー資源の価格変動に対するヘッジのための証拠金負担の増大などで、電力企業であるウニパーの国有化が決まった。欧州経済全体でコストプッシュ型のインフレが急伸し、景気後退懸念が高まっている。その結果、個人消費や生産活動は鈍化し、貨物の輸送ニーズが落ち込んだ。

また、品目別にみると、メモリ半導体、スマホなどIT先端分野の一角で航空貨物需要が減少し始めた。リーマンショック後の世界経済ではデジタル化が加速し、最先端機種を中心に需要の増加期待は高まった。それは航空貨物運賃を上昇させるなど、フェデックスの業績拡大を支えた要因の一つだった。

しかし、2021年下期以降、世界のスマホ需要は減少している。パソコン需要も落ち込み、メモリ半導体の需要は減少している。そうした要因によってフェデックスの業績は想定外に悪化した。

米国の年末商戦は想定を下回る予想

今後の事業環境に関して、フェデックスは一段と厳しさが高まるとの危機感を鮮明に示した。同社はコストの削減を強化し、当初の計画に比べて資本支出額も抑制する。最大の要因は、米国の年末商戦が想定を下回るとの懸念が高まっていることだ。それは世界経済にかなりの負の影響を与える可能性が高い。

現在、米国の労働市場は過熱気味だ。賃金は上昇し、食料品や家賃などをはじめ消費者物価指数の上昇率は高止まりしている。その状況下、米国の個人消費は底堅さを保っている。FRBはインフレ鎮静化のため追加利上げや量的引き締め(QT)を進めることになる。

金融政策の引き締めによって、今後、米国の失業率は上昇し、雇用・所得環境の悪化に直面する家計は増加するとみられる。個人消費の伸び率は鈍化する可能性が高い。懸念されるのは、そうした変化が米国の年末商戦と重なる可能性が高いことだ。