慣れれば「賢く間食する」ことに挑戦

そうして糖質と少し距離が取れるようになれば、「ゼロ」ではなく、「賢く食べる」ことも選択肢になります。私も、仕事の終わり間際など、お腹が空くことがよくあります。空腹を感じると集中力がなくなったり、イライラしたりしますよね。そうしたことを避けるためにも、軽く間食をとることは良い選択だと思います。

私は普段から患者さんに「間食をスマートに(賢く)食べましょう」と言うことがあります。では、「スマートに」とはどういうことかというと、間食の種類と量、食べるタイミングを選ぶということです。私のおすすめは、ナッツ、高カカオのチョコレートと、次に紹介するフルーツです。

フルーツは糖質が多いので、自分も含め血糖値の上がりやすい体質の人にとっては食べる量やタイミングに注意が必要ですが、食べ方さえ選べば、ビタミンやミネラルが豊富で間食におすすめです。

フルーツについてはとても面白い研究結果が2021年に出ています。『Circulationサーキュレーション』という循環器の分野で非常に権威のある医学雑誌に掲載された論文で、フルーツと野菜の摂取量と死亡率について複数の研究をまとめて解析したものです。つまりは、メタアナリシスというものですね。

この研究では、フルーツも野菜も1日の摂取量が多いほど死亡率が低くなることがわかりました。

フルーツは「1日2サービング」くらいがベスト

では「どのぐらい食べれば良いのか」を表したのが図表1です。

縦軸は死亡率、横軸は1日のフルーツの摂取量を「サービング」という単位で表しています。グラフを見ると、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病など)による死亡率だけはフルーツの摂取量と無関係ですが、トータルの死亡率も、がん、心血管疾患、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)による死亡率も、1日の摂取量が増えるにつれて下がっています。

ただ、1日の摂取量が増えすぎると、リスクが横ばいか、やや上がっていくので、ベストは「1日2サービング」ぐらいです。

とくに、心血管疾患は、食べすぎるとリスクが上がります。フルーツは甘いので、糖質が多く、血糖値を上げやすいからでしょう。フルーツに含まれている糖質のうち、果糖(フルクトース)は血糖値を上げませんが、フルーツには同時にブドウ糖(グルコース)やショ糖(ブドウ糖+果糖)なども含まれているので、食べるとやっぱり血糖値が上がります。