ガスはおもに産業や家庭の暖房に使用され、原子力エネルギーは発電に使用されるため、冬のエネルギー需要の解決に大きく貢献することはないという。原発の新規建設も議論されているが、ケーニッヒはこれにも懐疑的なようだ。「コストが高すぎ、建設期間が長すぎ、壊滅的な事故に対する完全な安全性を保証することもできない。さらに、核廃棄物の最終貯蔵地の問題もまだ解決されていない」
さらに、ドイツもEUも肝心の核燃料の供給をロシアに依存している。2020年、EUはウランの20.2%をロシアから、さらに19.1%をロシアの同盟国であるカザフスタンから入手した。ルーマニアのクルチャ鉱山が2021年11月に閉鎖されて以来、欧州連合内ではウラン鉱山は稼働していない。原発オペレーターであるRWE、EnBW、Eonでさえ、稼働期間の延長について非常に懐疑的だという。「12月31日を超えて運用を継続するには、技術的および法的性質の高いハードルが伴う」とRWEは指摘している。
消費者物価は9.1%増
その他、EU統計局ユーロスタットが31日発表した8月のEU圏消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.1%増で過去最高となった。コロナ関連でも、秋冬からのマスク着用義務強化などがすでに発表されている。欧州にとっては暗く長い冬になりそうだ。
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら