児童が「その漢字は習ってません」と言わなくなる
不親切教師たるもの、配当表など一切気にせず、とにかく黒板にばんばん漢字を書いていく。読めないであろう漢字には振り仮名を付けるぐらいの配慮をすれば十分である。この繰り返しで、子どもは漢字をどんどん読めるようになる。
逆に「習った字しか黒板に書かない」を忠実に続けていると、配当表にある漢字以外は一切読めないということになる。ばんばん漢字を使って板書していると、子どもたちは「その漢字は習ってません」と言わなくなる。漢字の使用が当たり前になる。習ってもいない漢字を、振り仮名なしでも読めるという子どもが続出する。
余裕があれば、絶対に習わないような漢字のクイズを出すのもいい。例えば私の学級では、低学年であっても漢字の読みクイズを実施する。1個でもできれば十分というようなものである。取っ掛かりがないと答えようがないので、テーマだけはヒントとして与える。
(この例のテーマは「みんなが知っている哺乳類の名前」である。加えて「哺乳類っていうのは、赤ちゃんの時にお母さんのおっぱいを飲んで大きくなる動物のことだよ」とも教える。答えは、1かば 2らくだ 3しまうま 4こうもり 5いるか 6りす 7もぐら 8あざらし 9しゃち 10となかい である)
こういったことをやっているうちに「自分たちも作りたい!」と言うように必ずなる。そのタイミングで空欄となった漢字シートを渡せば、子どもがクイズを自作するようになる。
それを印刷して配付し、全員で楽しむことができる。全部は用意してあげないという不親切教師的漢字指導法である。
漢字は、知的な遊び道具にもなる。遊びの幅は、ある程度自由な方が楽しい。漢字の使用に下手な制限を加えることで、せっかくの学力向上の芽を摘まないことが大切である。