2つ目は人事評価制度によって評価基準が明確になることで、社員は自分の成長に応じて給与がどう変化していくかを理解でき、昇進していくための道筋も分かりやすくなります。
そして、3つ目は生産性の向上です。特に中小企業に多いのですが、目標数値だけが設定されて活動は社員任せの組織運営では、生産性が上がるわけがありません。そして、生産性が低い限り、業績が上がらないので、賃上げも難しいという悪循環に陥ってしまうのです。
転職で「年収を上げる人」が必ずする質問
経営計画と人事評価制度の有無が、自分のキャリアアップ、収入アップに関係することがわかっていただけたでしょうか。しかし、求人情報でそこまで書いてあるのは稀でしょう。
ホームページに経営理念を載せている会社は多いですが、「形だけ」のケースが少なくありません。実はAさんが辞めた1社目の会社にも人事評価制度があったそうですが、前述したように面談があること以外、メリットを感じていなかったといいます。
そこで、経営理念と人事評価制度があることを確認するだけでなく、実態はどうなのかを知るために面接で次のような質問をしてみることをおすすめします。
「経営理念の実現に向けて、社内にはどんな仕組みがありますか?」
まず、「経営陣が理念を設定しているだけの会社」か、「社員が目標や戦略を共有して、実現に向けてベクトルを合わせていける会社」なのかを確認できます。
さらに仕組みとして人事評価制度や計画的な教育・研修などが挙がれば、社員の成長を支援する体制も整っていると言えるでしょう。しっかり答えられる会社であれば安心ですが、意外に少ないかもしれません。
人事評価の仕組みを尋ねる理由
「人事評価制度の評価は、年に何回やっていますか?」
この質問に対して、「評価時期は年2回。上期は10月、下期は4月に評価を実施しており、その評価が次の賞与に反映されます」と具体的に答えられるようであれば、人事評価に基づいて給与や賞与、昇給額がきちんと決められていく会社だと考えていいと思います。当然、給与も成長に応じて上がっていくはずです。
特に経営陣以外の社員もこうした質問にしっかりと答えられるのなら、経営理念や人事評価制度が社内に浸透している証拠です。
「人事評価制度の評価結果は、どのようにして知ることができますか?」
「記入したシートを各自に手渡し」というような回答だった場合は、要注意です。評価者によるバラつきが生まれてしまい、納得感を得られない評価を受ける可能性もあります。