「バングラデシュの洪水」もローカル要因
同じような事態は、実は世界各地で指摘されている。
バングラデシュなどで洪水や高潮被害が相次いだ際も、海面上昇が指摘されたが、実際は難民などがこれまで人が住まなかった低地に住んだから起きたのだった。
海面上昇とは直接関係のないことが引き起こした災害を、安易に地球温暖化と結びつける例は少なくない。
ただし、気候変動による海面上昇を嘘だと言うつもりはない。たしかに地球全体の平均気温と海水温度は上がっており、海面上昇も起きている。だから由々しき事態が進行しているのは間違いない。
海水温度が今以上に上昇したら、サンゴ虫が逃げ出して珊瑚礁の白化現象が起きるかもしれない。すると珊瑚礁はもろくなり波で崩れるだろう。それが島の面積を削り水没を加速する可能性もある。だからツバルの危機は去っていない。
ただ、ローカルな要因によって起きた(海岸減退などの)現実も、予測される地球規模の変動に対して脆弱性を高めているのも間違いないだろう。
より海面上昇が進んだ場合には、今以上に浸水や海岸浸食などの影響は悪化するに違いない。
オークランド大学の研究チームは、気候変動が依然として海抜の低い島国にとって大きな脅威であることに変わりはないと指摘する一方、こうした問題への対処の仕方を再考すべきだと論じている。
まずはローカルな課題を解決する必要があるだろう。