方針3 常に子どもの気持ちを確認する
次にお話しする方針は、できていないお父さん、お母さんが多いように思います。
子どもに「○○しなさい」というように、一方的に親の言うことを聞かせる対応はしてはいけないということです。何かするときには、必ず子どもの気持ちを確認してください。
オムツを替えるときに、赤ちゃんに「オムツを替えていい?」って聞いていますか? え、赤ちゃんはまだ話せないから、聞いていない? では、認知症になったおばあちゃんのオムツを替えるときに、言葉がわからないからと勝手に脱がせますか? やりませんよね。人間としての尊厳の問題です。生まれたばかりの赤ちゃんだって、一人の人間として意思を尊重されなくてはいけません。
まだ答えられないかもしれないけど、「オムツを替えていい?」と聞いてから替える。鼻水が出ていたら、「拭いていい?」と言って拭く。ご飯を食べさせるときも「食べる?」と聞く。そうやって気持ちを聞くということは、子どもを人として大切にするということ。そのように育てられた子は、周りの人にも同じようにできるようになります。思いやりや相手を大切にする心が育ち、「協同性」「社会生活との関わり」「言葉による伝え合い」が上手に築ける子になるでしょう。
気持ちを聞いても、子どもの思う通りにはさせてやれないこともあります。
そんなときは、気持ちをくみ取ってあげましょう。食事中にコップの水に手を突っ込んで、水遊びを始めてしまったら、「水遊び、楽しいよね。でも、テーブルをビシャビシャにしてしまうと、服がぬれてしまうし、周りの人にも迷惑がかかってしまうから、ご飯を食べ終わってから、お風呂でやろうか?」と代案を提案する。壁にクレヨンで落書きをしていたら、「お絵描き楽しいね。でも、壁紙に直接描いてしまうと、消すのが大変だから、壁に紙を貼ってあげるね。ここに描いてもらうのでもいい?」と聞く。制限はあるんだということを教えるのです。気持ちを理解していることが伝われば、子どもはそのことに満足して話を聞いてくれます。
赤ちゃんの時から自立の練習をさせると後がラク
それでも聞いてくれないときは、親があきらめましょう。子どもは必ず成長します。いつかは理解して、自分からやめる日がきます。何度言ってもテーブルの上にのぼってしまう子も、中学生になったら、「のぼってみて」と頼んでもやらないはずです。
日本の子どもたちは、家では「片付けなさい」「勉強しなさい」「早く寝なさい」と言われ、学校でも「先生の話を静かに聞きなさい」と言われています。このように育てられているのに、社会に出て、急に「自分の考えを言いなさい」と言われてもどだい無理な話なのです。
赤ちゃんの時から、「自立心」を持って行動する練習をさせてやりましょう。小学生になったら、興味を持ったことを自分のやり方で学ばせる。何かに疑問を持ったら、「どうやって調べるといいと思う?」と聞いて、本人が決めたやり方で調べさせてみる。そうやって自分で決めた勉強は一生懸命やるし、責任を持ってやります。無理やりやらせるよりも効果的だし、親もラクなんですよ。