(3)条件づけの活用 テレビやゲームも使いよう
習慣化を助けてくれるのが、「条件づけ」です。プライミング効果と同じく記憶の種類として紹介したものですが、こちらもモチベーション維持に活用できます。
これにも有効性を示してくれる実験結果があります。
テレビやゲームといった遊びや誘惑に関する単語をプライミングされると、基本的には課題に対する生産性が落ちます。「到達」や「成功」とは逆に作用するプライミングの効果です。
ただし、テレビやゲームに「到達」や「成功」といった条件づけをして記憶させると、逆にモチベーションを高く保ったまま課題に取り組めました。
被検者には、テレビやゲームなどの誘惑に負けずに勉強できたケースを思い出し、その様子を強く思い描いてもらいました。これによって、テレビやゲームという単語が生産性を上げる要因になったのです。
これは、とても興味深く、また私たちの生活でも活用しやすい方法です。
日々の生活のなかで、学習したい、将来のために時間を使いたいと思っているのに、ほんの30分のつもりでテレビや動画を見始めて、気づけば寝る時間……なんてこともあるのではないでしょうか。
時間の浪費と感じたり、やめたいと思っていたりするのについやってしまっている活動を一度断ち切って学習する。ここが私たちの意志の使いどころです。
誘惑を断ち切ったという経験を何度も思い起こすことで、条件づけを強化していくのです。これにより、思わずテレビや動画を見そうになっても、時間の浪費と思っていたことをやめて学習を始められた経験が思い出されて、学習に向かうことができます。
(4)報酬を活用する
習慣化をするうえで、報酬も活用できます。
誰もが報酬によってやる気を出した経験があるでしょうし、これまでの経験から、どのような報酬が自分に合っているかもなんとなくわかっているかもしれません。その経験を活かして、自分が今一番欲しいものややりたいことを報酬として設定します。
たとえば、1週間の目標が達成できたらケーキを食べるなど、報酬の種類はなんでもかまいません。そのために頑張る気が起きること、それが重要です。
ただし、報酬を活用するときに注意すべきことがあります。
「アンダーマイニング効果」というもので、すでに習慣化されているものや動機づけされているものに対して報酬を与えると、報酬なしにはやる気が出なくなってしまうのです。
報酬を与える以外にも監視をしたり締切をつくったりしても同じようにモチベーションが下がるので、注意しましょう。報酬を活用するのは、新しく習慣化するときだけです。