(5)短期目標を設定する

長期にわたる目標を設定すると、どうしても継続した強い意志の力がモチベーションを維持するために必要になります。また、翌週にひかえたプレゼンの準備といった優先度の高い短期的な課題に直面したときに、目の前の課題のほうが優先されてしまいがちです。

長期的な目標だけで、モチベーションを維持することは難しいのです。

一方で、短期的な目標を設定し、それを達成することは、なにかを習慣化するときに大きな効果があります。

面白い実験があるので、紹介しましょう。

【エビデンス】

算数が苦手な小学生を対象とした実験です。1週間の学習をおこなうとき、1日ごとの目標を与えられたグループ、1週間後の目標を与えられたグループ、目標はなにも与えられなかったグループに分けて、1週間の行動を観察しました。

その結果、学習をする前は5%程度だった正答率が、1日ごとの目標を設定されたグループでは80%にまで伸びました。加えて、自ら勉強したいというモチベーションもとても高い数値をマークしました。

一方で、1週間後の目標が設定されたグループは、なんと目標がないグループよりも正答率と興味がともに劣る結果となりました。算数が苦手なグループでの実験なので、長期的な目標がマイナスに働いてしまったのです。

目標はできるだけ「短期」に

この実験結果から、遠い目標や実感のない目標など、自分の行動に結びつかないような目標では、目標を立てる意味がないことがわかります。

目標を立てるときには、「自分は絶対にやってやるんだ」と思っていたとしても、習慣化するうえでは、目標を細分化して、「今日はこれ、明日はこれ」と短期的に達成できる目標を立てていくことがとても重要なのです。

記憶を習慣化するときでも、はじめは時間、頻度ともに少なくてよいので、まずは目標を設定し、達成することが大事です。

週に3回、寝る前に5分だけ時間をつくって記憶をすることからはじめて、それが達成できたら週3回から5回に頻度を増やしていったり、昼休みにも5分、朝起きたときにも5分というように増やしていったりと、だんだん達成できることを増やしていきます。

短期目標を達成していくことでモチベーションが自然と形成されやすくなることが、実験結果からも示されています。