やり方はとてもかんたん。立っている子どもの背中を、大人が片手で上から下へと強めに「さする」だけです。

コツは、強めの力で上から下に勢いよく、シュッ! シュッ! とさすることです。

この背中さすりが効果的な理由は、背中を上から下へさする手の動きに連動して、背中の「筋膜きんまく」が正しい方向に誘導されるからです。

「筋膜」とは、筋肉をはじめとする骨や血管や組織など皮下組織に存在するものを包む白い膜のようなもので、体全体を包み込んでいます。ねこ背によって位置がずれ気味だった筋膜に、皮膚の上から刺激を与えて物理的に正しい場所へ戻すというわけです。

図表1を見てください。ねこ背の子どもは、体の皮膚や筋膜が全体的に前側へ下がってきています。「背中シュッシュ」をすることで、前側に下がっていたものを元に戻すイメージです。

朝の見送りに行うのがおすすめ

背中を上から下へ勢いよくさすられると、子どもの背中は反射的に伸びます。「あ、これが正しい背中だった」と思い出すのです。

小林篤史『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』(かんき出版)
小林篤史『10秒で治る! 子どものねこ背のばし』(かんき出版)

また、背中に触れると自然と背骨にも触れることになります。背骨の中(脊椎)には自律神経の大きな束があるため、そこに刺激を与えることで自律神経の働きを活性化することにもつながります。ほとんどの子どもは「気持ちいい」「スッキリする」と感じるはずです。

「背中シュッシュ」を試してもらったご家庭では、お子さんのほうから「背中のあれやって!」とせがまれることもあったとか。

なお、この背中さすりは、勉強中だけでなく、朝、子どもが園や学校に行く前に行うのもおすすめ。

「背中シュッシュ」をして「いってらっしゃい!」と見送ってあげれば、スイッチの入った子どもはスッキリした気持ちとよい姿勢で、1日のスタートを切れそうです。