フェイクレビューはどのような文面で書かれているのか
実際、フェイクレビューとはどのような文面で書かれているのか。3000円近い値段がする、セラミックファンヒーターについたフェイクレビューは、
★★★★★ こぢんまりした部屋にジャストフィット
今まで小さな部屋だったので、コタツでしたが、PCなど使用のために、コタツに変わる暖房を考えていたところ、この様な商品に出会いました。わずかなスペースに置けて、思ったより暖かく、小さな部屋にはピッタリで、使い勝手も良いです
とある。
この商品には80件以上のレビューがつき、70%以上のレビューが5つ星だった。
フェイクレビュー作りに必要な3つのアカウント
2000円台の値段がついた《キーファインダー 探し物発見器》には、こんなレビューがついている。
★★★★★ 簡単に見つかりました?
車の鍵とかスマホとか細々したものをときどき無くすので、紛失防止の為に買いました。普段スマホをマナーモードにしたまま無くしてしまうので、他の人に電話をかけてもらって着信音を頼りに探すことも出来なくて困っていたので、非常に探しやすくなって便利です
このキーファインダーには、40件のカスタマーレビューがついていて、5つ星レビューが75%。私が見たときには、忘れ物防止タグの部門で、《Amazon’s Choice》のロゴがついていた。いずれの出品者もプロフィールに記された住所はCN、つまり中国であった。(著者注・レビューの文章は、だれが書いたのかを特定されないように若干表現を変えている)
フェイクレビュー作りに参加するには、以下の3つが必要となる。アマゾンのアカウントとフェイスブックのアカウント、ペイパルのアカウントである。
アマゾン側が特定するのは難しい
商品の購入から返金までの流れは以下の通り。
2 タイムラインから無料で手に入れたい商品を見つける。
3 フェイスブック経由で出品者に「レビューしたい」とメッセージを送る。
4 その際に、購入者のペイパルアカウントと、アマゾンのプロフィールページを送る。
5 出品者から商品の検索キーワードや商品の写真などが送られてくる。
6 アマゾンのサイトから商品を購入する。
7 出品者に注文番号を送る。
8 購入後1週間ほどの間隔を開け5つ星でレビューを書く。また、必要によってレビューに写真を添付する。
9 レビュー掲載後に、新しいレビューが載った自身のプロフィールページを出品者に送る。
10 出品者からペイパル経由で銀行口座に購入商品の代金が返金される。
──となる。
商品を購入してレビューを書く以外は、全てのやり取りはアマゾンの外で行われるため、アマゾン側が、どれが金銭の取引によるフェイクレビューであるのかをピンポイントで特定することは難しい。
複数の人から取材をして、「フェイクレビューは儲かる」という話を聞いたが、最初に頭に浮かんだのは、本当にそんなに儲かるのか、という疑問である。たしかに、無料で手に入れた商品ではあるが、それをメルカリやヤフオクに出品し、購入者が付いたら、発送作業までしなければならないのである。手間に見合っただけの儲けがあるのだろうか。