米中対立が激化するなか、日本はどんな進路をとるべきなのか。経済評論家の加谷珪一さんは「これまで日本の最大の貿易相手国は米国だったが、2015年以降は中国に変わっている。中国への輸出額はさらに増える可能性が高く、そうなれば日本は中国の言いなりになるしかない」という――。(第2回/全2回)

※本稿は、加谷珪一『縮小ニッポンの再興戦略』(マガジンハウス新書)の一部を再編集したものです。

中国と日本の国旗
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中国が「IT技術」を決定する領域が増えている

ITというのは従来技術とは異なり、経済的に貧しい国でも容易に社会に浸透し、経済成長に寄与するという特徴があります。鉄道や道路、ビルなどのインフラを整備するためには、多額の資金と年月が必要となりますが、ITインフラの整備にこうした手間はかかりません。このため新興国でもあっという間にインフラを整え、ビジネスにITを応用してしまいます。

中国はすでに日本を追い越し、米国と並ぶIT大国となっていますが、従来の工業インフラではそうはいかなかったでしょう。そして困ったことに中国がIT大国として台頭した結果、世界経済には極めて深刻な影響が及んでいるのです。

ITは基本的に米国で発達した技術ですから、技術の基本仕様はすべて米国企業が策定していました。各国のIT企業は米国が作った標準仕様をベースに製品を開発していたわけです。ところが中国が米国と並ぶIT大国に成長したことから、すべての技術仕様が米国で決まるという従来の常識が通用しなくなりつつあります。現時点において米国IT企業の競争力は圧倒的ですから、今でもIT業界を牽引しているのは米国ですが、一部では中国が標準技術仕様を決定する領域が出始めているのです。

ITという今後の成長の原動力となる重要技術において、大国間の分断が生じると、世界経済に深刻な打撃を与える可能性があります。そして困ったことに、米中の政治的な対立が、こうした分断を加速しつつあるのです。