70歳からは「“幸”齢者」を目指そう
いま日本では、65歳以上を「高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」と呼んでいます。でもなんだか機械的な響きで、ちょっと切なくありませんか。
ここまで頑張って生きてきたのですから、もっと明るくて希望の持てる呼び方にすべきだと、私は常々思っています。そこで提案したいのです。
70歳を超え、楽しく充実した暮らしを送っている人は、高齢者ではなく「“幸”齢者」──。
この呼び方なら、温かみや年をとることへの希望も感じられるでしょう。幸せな晩年を過ごして、人生をまっとうしたい。私たちが目指すべきは「幸齢者」なのではないでしょうか。
70代からは「個人差」を受け入れる
70代になると、世代全体の10%が認知症になります。しかし残りの9割は依然として頭がはっきりしていて、健康な人とそうでない人の差が、それまでになくはっきりと分かれてきます。
70代では、外見の面でも社会的地位についても、それぞれ取り巻く状況が大きく異なってきます。そのため、なにかと他人と比べて引け目を感じやすくなり、人によってはそれが重荷になってくるケースもありえます。
同世代の人よりもちょっとだけ早く老いを受け入れざるをえなくなった70代の人にとっては、「老いを受け入れる」ことは「個人差を受け入れる」とほぼイコールの行為でもあると私は思います。
自分を他人と比べている限りは抱えている苦しさから抜け出せません。他人にはできて、自分にはできないことについて思いを巡らせて悶々とするよりは、「いまの自分に何ができるのか」ということを前向きに考えたほうが、ずっと健康的に生きられます。
また、「働いているほうが偉い」「社会的地位が高いほうが偉い」「見た目が若々しいほうが偉い」といった50代、60代までの価値観にいつまでも縛られているのもよくありません。
人と比較するより、自分の生き方を模索するほうが賢明だと、私としては信じています。