「現場にトップが顔を出して、ワーワーいって話をする。これが大事なんです。『仕事は楽しく』っていう人もいますが、やっぱり仕事はきついですよ。でもトップが来てくれると、やる気になるもんです」
小林氏が経営企画部長だった2003年に福井威夫氏が6代目社長に就任した。翌年の新年式典を初代の宗一郎以来久しぶりに工場で開催すると「社長の思いがひしひしと伝わった」と大反響があった。しかも式典を行った工場では目に見えて品質が向上した。
ホンダの研究所はハードワークで知られる。小林氏はいう。「働きがいはあったけど、働きやすくはなかった。ワークライフバランスもわかるけど、適度な会社になりたいならともかく、ダントツになりたいなら、そんなこといってたらダメなんじゃないかな」。重く響く言葉である。
※すべて雑誌掲載当時
(的野弘路、増田安寿=撮影)