カー委員はツイートを通じ、「TikTokはよくある動画アプリというわけではない。(動画アプリとしての姿は)羊の皮だ。機密データを大量に収集しており、新たな報告によるとそれらは、中国からアクセスされている」と指摘している。

同委員はまた、「TikTokはユーザーのダンス動画を監視しているだけではない」と述べ、具体的に収集されているデータを挙げた。それによると、「閲覧履歴、キー入力のパターン、生体認証の識別子、下書きメッセージ、メタデータに加え、(コピー&ペーストの際に)端末のクリップボードに保存される、文、画像、動画」が収集されているという。米政府の要職者や軍関係者などの個人携帯から、重要なデータが漏洩ろうえいするリスクも無視できない。

公平を期すため補足するならば、送信先として挙げられている「中国」にはやや語弊がある。NBCニューヨークは、中国政府がデータを閲覧しているわけではなく、運営元の中国ByteDance社による閲覧だと補足している。

ただし、米シンクタンクの大西洋評議会の研究員は米CNNに対し、中国政府は法令に基づき中国国内の民間企業にデータ提出を命じることが可能だと指摘している。同研究員は、この法制度が根源的な懸念を生んでいるのだと指摘する。

ネットでつながるグローバルなネットワークの概念
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ユーザーの情報を執拗に集めている恐れ

英ガーディアン紙によると、米豪のサイバーセキュリティー企業であるインターネット2.0社は、TikTokが「過剰な」データを要求し、ユーザーが許可に同意しない場合は「執拗しつように」繰り返し許可を求めてくると指摘している。iPhoneに搭載のiOSでは一定のセキュリティー機構がこの動作をブロックしているが、データ収集はAndroid端末で顕著だという。

同社が分析したところTikTokは、ユーザーの連絡先リスト、カレンダー上のスケジュール、外部ハードディスクを含むデータなどをスキャンし、さらに1時間ごとに位置情報の取得も試みているという。こうしたデータの多くは、本来は動画閲覧という目的に必要ないものであり、個人情報の過剰な収集だとの批判がある。

米軍事ニュースサイトの「ミリタリー・タイムズ」は、収集されているデータのうち、特に位置情報が安全保障上の脅威になると指摘している。仮に一定数のアメリカの兵士たちが個人のスマホに同アプリをインストールし、収集した位置情報が中国政府に渡ったならば、アメリカ軍全体としての動向が国外に漏洩しかねないとの懸念だ。