顧客に頼まれてから慌てて資料を作成し、細部を詰めないままの状態で提出して失敗する営業担当者をよく見かけるが、こうした失敗をおかすのも営業担当者の側が時間のイニシアチブを握っていないからだ。

顧客と時間軸を共有すれば、競合に勝つうえでも有利になる。複数企業と商談を進めている場合、顧客は最初に時間軸を示した企業のスケジュールを基準にして話を進めてしまうものだ。競合にイニシアチブを握られると、こちらの対応が後手に回る可能性も高くなる。競合に時間軸を刷り込まれてしまう前に、真っ先に自社で時間軸を意識させたい。

既存商品からの切り替えを目指す場合は、前回導入したときの時間軸が比較対象となる。

「前回はどういうスケジュールで準備しましたか」と聞くと、何かしら不満点が出てくるものだ。たとえば「前回は予想外のトラブルが発生して、納品が1週間延びた」「のんびりしていたら導入直前がかなり忙しくなってしまった」とわかれば、「今回は2週間余裕を見てスケジュールを組みましょう」と話して顧客に新たな時間軸を意識させることもできる。これは同時に、スケジュールと納期についても、競合より優位性があるというアピールにもなる。ぜひ活用していただきたい。

(構成=村上 敬 撮影=鷹尾 茂)