ハマコーや麻生太郎は中国共産党に毅然と立ち向かった
自民党にも中国共産党に対して毅然とした対応を取るべきと主張した国会議員もいた。
6月6日午後、自民党「危機管理対策議員連盟」が天安門事件を受けた中国情勢を取り上げた(「中国情勢[自民党の一部議員〔浜田幸一衆院議員他〕の反応]」1989年6月6日)。
同議員連盟会長は、「政界の暴れん坊」と呼ばれた「ハマコー」こと浜田幸一。浜田は、中川一郎、石原慎太郎、渡辺美智雄ら自民党の保守派議員らとともに1973年に「青嵐会」を結成し、田中角栄首相の日中国交正常化を受けた中華民国(台湾)との断交に反対したため、台湾派と見られていた。
会合に参加したのは、永野茂門参院議員、堀江正夫参院議員、椎名素夫衆院議員、月原茂皓衆院議員、麻生太郎衆院議員(現自民党副総裁)。保守タカ派や台湾派の議員が多く、中国共産党に厳しいのが特徴だ。
外務省や政府の対応を「極楽とんぼ的」と批判
永野「流血の惨事に至った現在、『人道的観点』からの対応についても慎重にしなければならない理由があるのか」
堀江、椎名「平和的民主化要求を行った学生等に無差別発砲を行い、市民をも巻き込み多くの死傷者を出したことは痛ましい限りであり、その意味で官房長官発言の『衝突の結果多くの人命が失われ』との認識はどこかおかしい。また、昨5日の総理の所信表明演説の中では、本件に全く言及されていない。遺憾の意くらいは表明すべきではなかったか。全く極楽とんぼ的である。国交断絶をせよとは言わないが、政府の信頼関係が損なわれたことに対し、はっきりしたものの言い方をすべきではないか。このままでは、日本は国としての基本理念もない『おかしな国』との国際社会での評価がますます定着することになろう。我が国が、自由と民主主義に基本的価値を見出しているのならば、きちっと言うべきだ」
月原、麻生「こうしている間にも、中国の学生・市民が殺されており、早急に武力行使をやめるよう中国政府に申し入れるべきである。また、中国全土から邦人を引き上げることやこのままでは経済協力の実施は困難との趣旨を伝達すること等の具体的な態度により我が国の意思を示すべきである」
さらにこう突っ込んだ。
「隣国たる中国に経済制裁を科せば、非常に大きなインパクトがあろうが、外務省として、今後内乱が起きてもいっそ自由主義的な政府ができることがいいのか、或は、体制がどうあれ中国が安定しているほうがいいのか、一体どう判断しているのか」
会合では経済制裁を科すべきだとまでは要求しなかったが、外務省に対して中国共産党にもっと強く毅然とした態度で臨むべきであるとの声が多数を占めた。