②給与が通知されていた額と違う

次のケースは、給与額や賞与支給が入社前の約束と異なるなど、条件の相違に起因するものです。

正式に発行された採用内定通知書などのオファーレターが、本人の思い違い、あるいは本人と企業とのすり合わせ不足で、事前に約束したという内容と異なる。こうした事態に遭遇したという転職者は少なくないです。

契約書にハンコ
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そもそも正式なレターをもらっておらず、口頭のみで説明されたという方もいました。

これは転職者側が気楽にオファーを受けてしまった、あるいは焦って転職先を決めてしまったケースに多く起こります。それがゆえにあいまいなままで採用条件を聞いていたり、解釈の違いを生んでしまっていたのでしょう。

雇用条件は冷静に、かつしっかり確認することに尽きます。

採用してもらう側ということで遠慮してしまう人もいると思いますが、こうしたことは入社後にもめ事になるほうがむしろ大問題です。

条件の相違は100%採用した企業側の責となる事態であり、書面に残っていれば企業側に約束通りの支払いをする義務があります。直接確認しにくい場合は、エージェントの担当者に代理で聞いてもらいましょう。

③「転職をすべき人」と「現職に残るべき人」の違い

今の職場での役割・ミッションに納得するだけ取り組めた、十分にやり切った。今、任されている職務を完了し、ここから先にはこれ以上のチャレンジがない。自分の持てる力を最大限に発揮し貢献できる場を求めたい。

こういった「やり切った感」を十分に認識できている人であれば、「ここではないどこか」でさらなる大きな職務を求める準備は万端です。

あるいは、やり切った上で、自分には今の職務でパフォーマンスを上げることは限界だと認識できたのなら、現職とは別の道へ踏み出す。

いずれにしても、方向性は明確です。こうした人は、転職活動も迫力ある踏み出しができるでしょう。その指針に合致した次の職場のご縁は、遅かれ早かれ見つかるはず。

しかし、そのいずれでもない「どっちつかず」の転職になるなら、もう少し現職で踏ん張ってみたほうがよいでしょう。

ゲームのステージクリアをして次に進まない限り、また同じ局面がやってくるのです。

職場の人間関係が問題で、それを解決せずに逃げて次の会社に行けば、その会社で必ずまた同じ人間関係の問題が起きる。

任された役割に対して十分に試行錯誤し結果を出すところまで踏ん張れず、逃げて次の会社に行けば、そこでまた同じような評価にほぼ確実に至ります。

転職活動が「敵前逃亡」か否かかは、私が長らく転職支援をしてきて、転職者の方々が次の会社以降でよいキャリア展開をしていただけるか否かの分かれ道になることを痛感しています。

理想の転職とは、現在の役割・ミッションを満了したうえで次の役割・ミッションへと向かう、その際によりチャレンジングな役割・ミッションを自ら求める形です。