転職を成功させるのは、なにが重要なのか。人材コンサルタントの井上和幸さんは「転職をする前に、今の職場での仕事や問題に対し、自分が満足するまでやり切らなければいけない。どっちつかずなら、転職しても同じ課題と直面するだけだろう」という――。

日本人男性ビジネスマン
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転職して「こんなはずではなかった」となる人の特徴

長引くコロナ禍でも活発な転職市場。求人ニーズは全世代に渡って旺盛で、複数の内定が提示される転職者も少なくありません。

ところが、そのような状況の中で、数カ月から1年以内で再転職する短期離職者や、転職を繰り返してしまうジョブホッパーが増えているのです。

彼らの多くは好んで転職をしているのではありません。いざ入社してみたら「しまった。こんなはずではなかった……」となってしまい、仕方なく転職をしているのです。

なぜそのような事態に陥ってしまうのか。そこには転職時の視点と行動に根本的な間違いがあるのです。転職に失敗する人に共通する4つのケースとその解決法をご紹介していきます。

①「多少のことは我慢できるだろう」は間違い

一つ目は、企業や組織の風土と肌が合わなかったというミスマッチのケースです。

入社してみたら、物事の進め方のスタイルが前職までと全く異なり、ストレスを感じる。

価値観が合わず、体質的に受け入れられない。直属の上長や同僚との相性が悪くてギクシャクしてしまう……。

こうしたミスマッチを起こす人には、前職での年収や肩書への不満から、目先の年収やポジションにこだわって転職先を選択するタイプが多いです。条件にひかれて、「それであれば、多少のことは我慢できるだろう」と判断したケースです。

よくよく振り返ってもらうと、大概の場合、採用選考中に実は「何か肌が合わないな」「コミュニケーションが必ずしもスムーズとはいえない」というようなことが起きているものです。それを見て見ないふりをしてしまった格好です。

こうしたミスマッチは、もちろん採用企業側にも大きな責任があると、私は思います。

必ずしもしっくりきていないのに、スキルは満たしているからとか、会社事情でそのポジションを早く充足させたいからということで、妥協して採用してしまう。

こうした判断は転職者にも、自社にも大きな不利益をもたらします。

不満要素を解消することは大事ですが、それを解消しても満足には至らないのです。

「仕事にやりがいをもてる」「成長できそう、達成できそう」「承認を得られそう」「責任を果たせそう」といったことも考えて選択しましょう。