強制わいせつ事件で「不起訴処分」とされた通知書。画像の一部を加工しています
写真=本人提供
強制わいせつ事件で「不起訴処分」とされた通知書。画像の一部を加工しています

「警務隊の現場検証では、人形を使って再現しました」(同)

検察庁の捜査をへて、22年5月31日付で判決が出た。結果は、不起訴処分。五ノ井さんが不起訴の理由を尋ねると、検察官は「複数の自衛官を取り調べたところ、五ノ井さんを『首ひねり』という技で倒すところは見たけれども、腰を振るようなわいせつ行為をしているところは見ていない」という供述だったと説明された。そして「被疑者を有罪にするにはそれなりの証拠が必要だ」とも言われたという。

「その場で見ていた人がたくさんいたのに、なぜか腰を振ったという証言は出てこない。単に技をキメて押し倒しただけで、どうして笑いが起きるのでしょうか。その続きがなかったら、笑うわけがない」(同)

五ノ井さんは6月7日付で、検察審査会に不服申し立てをしている。

自衛隊内部では、この事件をどう捉えているのか。AERA dot.は五ノ井さんが配属された東北方面の部隊に事実確認すると、広報担当は「現在、部隊で調査中のため回答は差し控える」と答えた。調査結果がいつ出るかは未定だという。また、五ノ井さんが報告を上げた「一課」にも確認をしたが、「その件は一課長が対応したが、いまは不在」とのこと。代わりに対応した指令業務室の担当者は「事実を調査中のため、予断を持って回答することは差し控えたい」と回答した。なお、被疑者の処罰については、「判明した事実に基づき、厳正に対処する」とした。

(AERA dot.編集部 岩下明日香)

※「後編」では、五ノ井さんがセクハラを受けてもすぐに辞めなかった理由、顔と名前を出して告発に踏み切った経緯などを明かす。

当記事は「AERA dot.」からの転載記事です。AERA dot.は『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら
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