ジム卒者の進路は大阪桐蔭、履正社、天理、明豊など

ちょうど2人の小学生の息子、長男・天晴てんせいさん、次男・快晴かいせいさんが野球選手として、大きく羽ばたこうとしていた。体作りで土台を作って後押しできれば、彼らを含めて多くの子供たちの夢も広がる。

左端が代表の徳丸さん
撮影=清水岳志
左端が代表の徳丸さん

「ケガで野球から離れていった仲間たちがいる。今の子供たちには後悔だけはさせたくないと。体作りは大人も大事だけど、子供にも大切。若い世代に還元したかったんです」

投手だった天晴さんは小6時に阪神タイガースジュニアに合格した。しかしヒジの剥離骨折をして試合に出られなかった。そこで、中学生になってボーイズリーグで硬式野球をするタイミングで、徳丸さんは知人のトレーナーに息子の体幹トレーニングを依頼した。

「すると驚くほど成長したんです。2カ月のうちに足が50メートルで0.5秒ぐらい縮まった。これは体作りやなと」

チームのみんなにもトレーニングの重要性を分かって欲しいと、ある日、ボーイズの選手や父兄に長男が実践している体幹トレーニング体験をしてもらい、周囲の理解を深めた。

その後、甲子園の常連校・智辯和歌山高校に進んだ天晴さんは入部早々、兵庫・明石商との練習試合でホームランを打った。そこから卒業するまで4番の座に座り続け、甲子園でも活躍、去年の夏は全国優勝を果たす。そして今は、NTT西日本で社会人野球を続けている。

「入学するまでの体幹トレーニングが高校3年間の土台になったと思います。野球だけじゃなくて、スポーツするすべての子供たちに中学・高校で正しいトレーニングをすることで、後悔のない人生になる、と知ってほしい」

そんな気持ちから、自らジム経営に乗り出したわけだ。

今、アスリートワークスの受講生は部活が終わって、進学先の高校が決まって、さらに入学するまでに野球部などの部活に対応できるように準備をしようという中学3年生が中心。それと強豪に行きたくても行かれない子たちの能力を伸ばすことにも重きを置いている。

今年3月には、40人弱の中3生が全国各地の高校に巣立った。すでに、これまでに200人ほどをサポートしてきたが、その進路は明秀日立、大阪桐蔭、履正社、天理、明豊など甲子園常連校も多い。もちろん、この“ジム卒”なら必ず各校で活躍できるというわけではないが、1年生にして主力に抜擢されるケースも珍しくない。