AIに確実に負ける勉強法
現代人の心配事の一つに、「AI(人工知能)に抜かされる」というプレッシャーがありますね。
いつかAIが人類の知能を超えてしまう、今ある仕事の50%はAIに置き換えられる、という話を聞くと、ふと不安になる人も多いでしょう。
しかし人間の知性は、それほど弱くはありません。とりわけ、原理原則に基づいた思考ができる人なら、その危惧は不要と言っていいでしょう。
その理由は、主に二つ。一つ目は、「AIは新しいことができない」ということです。
現時点でのAIの主な機能は、パターン認識です。たとえば、大量の写真の色のパターンを見て、「これは犬」「これは猫」と判別する、膨大なユーザーのデータから「この層はこういう商品を好む」といった傾向を見出すなど。
コンピュータは、そうした大量のデータを読み込んで、すごいスピードで解析し、パターンを見出します。人が気づかないようなことでも一瞬で発見してしまうので、「これでは太刀打ちできない」と思ってしまいがちです。
しかし、お気づきでしょうか。データからパターンを見出す能力は、「詰め込み学習」と同じです。たくさんの問題を見て、そこにマッチする解答のパターンを当てはめ、テストでの点数に結びつける。この作業は、AIが行っていることとそっくりです。
人間がそれを行ったところで、AIほどの大量かつ高速な情報処理はできません。競争すれば、現時点でも負けます。
新しいものを生み出すのは人間
その代わり、人間にできて、AIにできないこともあります。
AIは、「これまで見なかったもの」を定義づけることができません。
たとえば、魚の新種が発見されたとします。人間なら、「これは、既存の魚とこういうところが似ているから、新種の魚ではないか」と、なんとなく推測することができるでしょう。しかしAIなら、答えは「わかりません」になります。
なぜならAIは、「○○だから、○○だろう」という理由付けが苦手だからです。データから一定のパターンを見つけ出すことはできても、それは「~だから」こうなるという発見ではなく、単に並列的な関係を述べたにすぎません。
今後研究が進めば、理由付けのスキルも身につく可能性はありますが、実用段階に入るのはまだまだ先。断然、人間のほうにアドバンテージがあります。
「なぜ、この公式が必要なのだろう」「なぜ、こうなっているのだろう」と考える力は、「新しいこと」を考えつく力でもあります。
「今、これがないから、これを作ろう」と新規の決定をする、理由をつけて行動に移す。それは、原理原則から考えられる、人間ならではの能力なのです。