頭がいい人はどのように勉強しているのか。東京大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)にダブル合格し、現在は起業家として小中学生向けオンライン教育プラットフォーム「スコラボ」を運営する前田智大さんは「頭のいい人は原理原則に沿った勉強をしている。たとえば数学の公式は丸覚えするのではなく、その公式の意味を理解することを目指したほうがいい」という――。

※本稿は、前田智大『灘→東大→MITに合格した私の「学びが好きになる」勉強法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

東京大学とマサチューセッツ工科大学
写真=iStock.com/wnmkm(左)/gregobagel(右)
※写真はイメージです

頭のいい人は「原理原則」にあった勉強をする

「頭がいい」というと、皆さんはどんな人をイメージしますか?

偏差値の高い学校に通う人? 難しい問題をスラスラ解ける人?

それらはたしかに、頭の良さの「一つの側面」ではあるでしょう。しかし私は、本当の頭の良さはもう少し根本的なところにあると思っています。

私が考える「頭の良い人」は、「原理原則から考える人」です。

「原理原則って、いったい何?」と思われたでしょう。

原理原則から考えるとは、まさに「○○って、いったい何?」という問いの先にたどり着く、物事の本質にのっとって考えることです。

もう少し、具体的に話しますね。「勉強法」を例に挙げましょう。

皆さんは、学校で習う「英数国理社」に、それぞれどんな勉強法が適しているかを考えたことはありますか? たとえば、それぞれの科目に「暗記」はどれだけ必要でしょうか。

5科目のうち、もっとも暗記を大事にするべきなのは「英語」だと私は思います。

「英語とは、いったい何?」と考えると、その理由がわかります。

英語は「言語」です。言語には文法などのルールがありますが、そもそも言語を習得するとき、人は「覚える」ことから始めなくてはなりません。私たちもそうやって日本語を話せるようになりました。英語を話す国の人たちも、赤ちゃんのときから、単語や文の組み立て方を覚え続けて、今に至っているのです。

ですから、私たちが英語を学ぶときは、とにかく覚えるのが先。単語量を増やすことが最優先です。文を解釈したり思考したりするステップは、その基礎を固めたあとの話です。

一方、数学はその逆。「覚える」よりも「理解する」ことを優先すべき科目です。

「いや、数学も公式を覚えたりしますよね?」と思ったでしょうか?

ここで再び、「数学とは、いったい何?」と考えてみましょう。

数学は、言語とは本質的に違います。言語は人間が作り出したものですが、「1+1=2」は、この世に元からある法則を数字を使って表したものです。

ですから「『知識』は英語で言うと『knowledge』である」という決まりは、覚えなくてはいけません。しかし「1に1を足すと2になる」という決まりは、考えれば理解できますね。

算数の決まり事や数学の公式は、すべてそうです。台形の面積を出すときの「(上底+下底)×高さ÷2」も、「a二乗+b二乗=c二乗」も、そうなる理由がきちんとあります。

ですから、「なぜこの公式になるのだろう?」と考えて理解するのが、数学の理想的なアプローチ。逆に「公式の丸覚え」は、原理原則に沿っていない勉強法となるのです。