※本稿は、前田智大『灘→東大→MITに合格した私の「学びが好きになる」勉強法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
頭のいい人は「原理原則」にあった勉強をする
「頭がいい」というと、皆さんはどんな人をイメージしますか?
偏差値の高い学校に通う人? 難しい問題をスラスラ解ける人?
それらはたしかに、頭の良さの「一つの側面」ではあるでしょう。しかし私は、本当の頭の良さはもう少し根本的なところにあると思っています。
私が考える「頭の良い人」は、「原理原則から考える人」です。
「原理原則って、いったい何?」と思われたでしょう。
原理原則から考えるとは、まさに「○○って、いったい何?」という問いの先にたどり着く、物事の本質にのっとって考えることです。
もう少し、具体的に話しますね。「勉強法」を例に挙げましょう。
皆さんは、学校で習う「英数国理社」に、それぞれどんな勉強法が適しているかを考えたことはありますか? たとえば、それぞれの科目に「暗記」はどれだけ必要でしょうか。
5科目のうち、もっとも暗記を大事にするべきなのは「英語」だと私は思います。
「英語とは、いったい何?」と考えると、その理由がわかります。
英語は「言語」です。言語には文法などのルールがありますが、そもそも言語を習得するとき、人は「覚える」ことから始めなくてはなりません。私たちもそうやって日本語を話せるようになりました。英語を話す国の人たちも、赤ちゃんのときから、単語や文の組み立て方を覚え続けて、今に至っているのです。
ですから、私たちが英語を学ぶときは、とにかく覚えるのが先。単語量を増やすことが最優先です。文を解釈したり思考したりするステップは、その基礎を固めたあとの話です。
一方、数学はその逆。「覚える」よりも「理解する」ことを優先すべき科目です。
「いや、数学も公式を覚えたりしますよね?」と思ったでしょうか?
ここで再び、「数学とは、いったい何?」と考えてみましょう。
数学は、言語とは本質的に違います。言語は人間が作り出したものですが、「1+1=2」は、この世に元からある法則を数字を使って表したものです。
ですから「『知識』は英語で言うと『knowledge』である」という決まりは、覚えなくてはいけません。しかし「1に1を足すと2になる」という決まりは、考えれば理解できますね。
算数の決まり事や数学の公式は、すべてそうです。台形の面積を出すときの「(上底+下底)×高さ÷2」も、「a二乗+b二乗=c二乗」も、そうなる理由がきちんとあります。
ですから、「なぜこの公式になるのだろう?」と考えて理解するのが、数学の理想的なアプローチ。逆に「公式の丸覚え」は、原理原則に沿っていない勉強法となるのです。