1日にタバコ2本、週にチョコ1キロ食べ続けた117歳

最も長生きした人として知られているのは、フランスのアルル出身のジャンヌ=ルイーズ・カルマンで、1997年に間違いなく高齢といえる122歳と164日で亡くなった。122歳に達した初の人物というだけでなく、116歳、117歳、118歳、119歳、120歳、121歳に達した人もほかにいなかった。カルマンはのんびりした人生を送った。

父親は裕福な造船技師で、夫は成功した実業家だった。一度も働いたことはない。夫より半世紀以上、ひとり娘より63年長生きした。カルマンは生涯を通じて喫煙し――117歳でついにやめる直前まで、1日2本吸っていた――週に1キロのチョコレートを食べたが、最後の最後まで活動的で、健康に恵まれていた。年老いてから、微笑ましい自慢話としてよく口にしていたのが、「しわなんてできたことがないわ、今椅子の上にある部分の、1本以外はね」。

またカルマンは、この上なく愉快だが判断を誤ったある取引で、利益を受けた人物になった。1965年に資金難に陥ったとき、カルマンはある弁護士に、毎月2500フランを払ってくれれば、死後にアパートメントを譲り渡すと約束した。当時カルマンは90歳だったので、弁護士にとってはかなりよい取引に思えた。ところが、その契約を結んだ30年後に弁護士はカルマンより先に死亡し、結局、手に入れられなかったアパートメントのために、90万フラン(18万4千ドル相当)以上もカルマンに払い続けることになってしまった。

⑥80歳以降は遺伝子がカギになる

しばらくのあいだ、世界最高齢の人物は日本の木村次郎右衛門だったが、2013年に116歳と54日で死亡した。木村は郵便局員として穏やかな人生を送り、京都近郊の村でとても長い隠居生活を過ごした。

健康的な生活を送っていたが、それは何百万人もの日本人も同じだ。木村がほかの人たちよりこれほど長生きできたのはなぜなのかという疑問には答えようがないが、家族の遺伝子が重要な役割を果たしているようだ。

遺伝子治療の概念
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ダニエル・リーバーマンが話してくれたところによると、80歳まで生きるのはおもに健康的なライフスタイルに従った結果だが、そこから先はほとんど完全に遺伝子に関わる問題だという。あるいは、ニューヨーク市立大学名誉教授バーナード・スターによれば、「確実に長生きする最善の方法は、両親を選ぶことだ」。

執筆の時点では、確証のある115歳の人が世界には3人(日本人がふたり、イタリア人がひとり)と、114歳の人が3人いた(フランス人がふたり、日本人がひとり)。