「定期的に私の牧場に来て世話をしてくれると『気にかけてくれているんだな』と感じますし、『あいつ元気かな』と思った相手には虫を入れてちょっかいを出すこともあります。直接メッセージはなくても、そういうつながりを通じてお互いの存在や気持ちを確認できるのがいいですね」

山口県で生まれ、大阪の大学で学び、現在は東京で働く市川さんの友人は全国に散らばる。放っておけば忙しい日常の中で失われがちな絆が、ゲームを通じ維持されているのだ。ミクシィでは09年8月から「ミクシィアプリ」というサービスを一般向けに公開した。これはマイミク同士で一緒に楽しめるゲームやアプリケーションを提供するもの。その中で断トツの人気はサンシャイン牧場で、本稿執筆時点で480万人を超える利用者数を誇る。

市川さんはこうしたネットワーク上のコミュニケーションツールを活用する効果を、仕事上でも実感している。

法人営業を担当する市川さんは自社のオフィスにはほとんど在席せず、できる限り顧客のもとへ足を運び、モバイルを活用して業務を遂行する。このワークスタイルではコミュニケーションが問題になりそうだが、社内のコミュニケーションツールが威力を発揮しているという。

「たとえばお客様先で障害が発生し、短時間で解決の方向性を打ち出さなければいけないとき、社内のメッセンジャーを使って相手の状況を把握したうえで技術者に障害の原因となる要素を質問し、回答を受けて対応方法を考えていくとスピードが段違いに速くなります。一度会社に持ち帰って検討していたら、すぐに半日から一日が過ぎてしまいますから」

こうしたツールをうまく活用すれば時間や空間の制約を超えてコミュニケーションができ、人間関係が豊かになったり、優れたアウトプットにつながったりする。食わず嫌いをしている人には、まずは試してみることをお勧めしたい。