「本気」ならば、大規模な政策転換だ
そんな時に、新型コロナウイルスの蔓延が起き、雇用調整助成金を大規模に給付せざるを得なくなった。余剰人員の人件費を政府が肩代わりする制度だから、これによって企業に人を抱えさせることとなった。新型コロナにもかかわらず日本は失業率がまったくと言って良いほど上がらなかった。失業率が一時14%まで上がったが、その後の好景気で新型コロナ前の失業率に戻った米国とは対照的だった。米国はこの間、大きく労働移動が起き、ポストコロナ型産業へのシフトが進んだが、日本は労働移動を阻害する政策をとったために産業構造の転換はまったく進んでいない状況になった。
岸田内閣は2022年3月末までだった雇用調整助成金の特例措置を6月末まで延長。さらに選挙後の9月末まで延ばした。労働移動を促進するというのが「本気」ならば、これも大規模な政策転換である。新しい資本主義は、アベノミクスができなかったことに挑む、アベノミクスよりもアベノミクスな資本主義ということになるのだろうか。